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業務用アプリケーションのための独自の小型AIモデル、印Zohoが日本でも展開

上田 羽純(DIGITAL X 編集部)
2026年11月6日

業務アプリケーションなどのクラウドサービスを手掛ける印Zohoが、自社開発した小型のAI(人工知能)モデルの提供を強化している。業務アプリに最適化することで使い勝手が高まりコストを下げられるとする。AIエージェントのための動作基盤も自社で開発・運用し、サービスの提供コストを下げているという。2026年9月25日に開いた記者発表会で説明した。

 「汎用のAI(人工知能)モデルによって個人の生産性は高まったが、組織やチーム全体の生産性はそれほど高まっていない」--。業務用アプリケーションのクラウドサービスを提供する印ZohoでAI研究部門の責任者を務めるランプラカシュ・ラマムーシー(Ramprakash Ramamoorthy) 氏は、こう指摘する(写真1)。

図1:印Zoho AI研究部門責任者のランプラカシュ・ラマムーシー(Ramprakash Ramamoorthy) 氏(右)と、ゾーホージャパン 執行役員Zoho事業部長の服部 英喜 氏

独自の小型AIモデルで小さな効率化を積み重ねる

 組織としてのAI技術活用の課題に対しZohoは、業務処理に適した小型のAIモデルを自社開発し、業務向けアプリケーションに組み込むことで対応する。「必要な処理を効率よく実行し、日常業務の手順を減らすことを重視している」とラマムーシー氏は強調する。

 LLM(Larage Language Model:大規模言語モデル)としては、独自の言語モデル「Zia LLM」を用意する。モデルの規模の目安になるパラメーター数は、13億、26億、70億の3モデルを発表済みだ。他社製LLMでは数兆規模のパラメーターを持つものもあるが、ラマムーシー氏は「営業担当者とサービス担当者では、質問も答えも異なる。汎用性のある巨大モデルでなくとも、適切なコンテキストを設定すれば、小さなモデルでも対応できる」とする。

 特定の処理に特化したAIモデルも開発している。例えば、出張経費精算業務に対しては、領収書の記載内容を読み取るOCR(Optical Character Recognition:光学文字認識)処理と、読み取った内容が社内の出張規定に適合するかどうかを確認する処理の、それぞれに適したAIモデルを用意する。「必要な処理に絞ったモデルを組み合わせることで、計算資源や処理時間を抑える」(ラマムーシー氏)という。

 独自のAIモデルは既存の業務アプリケーションに組み込んで提供する。利用者が日常業務を進める中でAI技術を自然と使えるようにすることで「3ステップ必要だった作業を1ステップで終わらせる。そうした小さな効率化を積み重ねて、組織全体の生産性向上につなげる」とラマムーシー氏は説明する。

 Zoho独自のモデル開発では「学習に顧客データは一切使用しない」(ラマムーシー氏)という。「顧客データは顧客のもの」(同)との考えからだ。ちなみにデータセンターは日本国内にも開設しており「データを国内で運用しなければならない企業のニーズに対応している」(同)という。

AIエージェント基盤やサーバーも自社開発しコストを削減

 言語モデルを業務で使うために、AIエージェント基盤「Zia Agents」を開発し提供する。AIエージェントが参照するデータや操作するツール、LLM、スキルなどの組み合わせを管理する。開発環境「Agent Studio」を持ち、Zoho製のAIエージェントのほか、独自のAIエージェントを開発・利用できる。言語モデルにはZoho製のほか、顧客が契約する「ChatGPT」(米OpenAI製)などの外部サービスも利用できる。

 業務アプリやAIエージェントなどサービス提供のためのソフトウェアを安定稼働させるためには、計算基盤の内製化も進める。自社設計したサーバー「Nathu La」が、その一例。「(業界大手のサーバー製品と比較して)消費電力を12~18%、TCO(Total Cost of Ownership:総所有コスト)を20~30%削減できている」とラマムーシー氏は説明する。2026年末までに約1000台を自社データセンターに導入する計画だ。

 計算基盤の強化と並行し、日本法人の人員や営業拠点も増やす。ゾーホージャパン 執行役員Zoho事業部長の服部 英喜 氏は「日本事業は現在、再投資のフェーズにある。社員数は今後1~2年で現在の約160人を倍増し、営業拠点の拡張や大阪オフィスの移転など事業体制を強化する」と話す。