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京都銀行、融資審査の稟議書作成をAIで支援する実証実験を開始

DIGITAL X 編集部
2017年10月31日

京都銀行は、融資審査時に使う稟議書の作成をAI(人工知能)で支援する実証実験を開始する。稟議書作成時間の短縮と、記載内容の質の均一化を図る。システムを構築したNTTデータが2017年10月25日に発表した。

 金融機関の融資審査業務において、最も時間がかかるのが稟議書の作成業務である。融資案件の内容に応じて適切に記載しなければならないが、その記載方法は担当者が経験で身に付けていくしかない。不慣れな担当者では、作成に時間がかかるだけでなく、記載内容が不十分だと承認担当者が差し戻さざるを得ず、作成担当者も承認担当者も業務時間を浪費することになる。

 実証実験では、NTTグループのAI技術である「corevo」を利用し、過去の融資審査に使用した稟議書データを解析する。corevoが持つ日本語解析技術により、単語や数字の認識だけでなく、文章全体の意図を分析する。

図1:過去の稟議書データから記載のノウハウなどを学習したAIが、新たな稟議書作成業務を支援する

 この分析によりAIは、行員が個々に持っていた稟議書記載のノウハウや、銀行が蓄積している情報を学習し、新たな稟議書の作成を支援する。担当者の経験や技能に関係なく一定の基準を満たす稟議書を短時間で作成できるようにする。提出前にもAIが改めて内容をチェックすることで、差し戻しの可能性をなくす。京都銀行は稟議書作成から承認までにかかる時間を”抜本的”に短縮することを目指すとしている。

 NTTデータは、実証実験の結果を検証し、稟議書作成を支援するAIシステムを2018年度中に商用化することを目指す。稟議書だけでなく、調査/審査業務の効率向上や、渉外業務の品質向上にもAIを活用することも検討する。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名京都銀行
業種金融・保険
地域京都市下京区
課題融資審査に必要な稟議書の作成に手間と時間がかかっている上、作成者の経験・技能によって品質が大きくばらついている
推進母体/体制京都銀行、NTTデータ
活用しているデータ過去の融資審査に使用した稟議書データ
採用している製品/サービス/技術AI(人工知能)技術の「corevo」(NTTグループ製)
稼働時期2017年11月1日から