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スウェーデンのScania、3D設計データのシミュレーションなどでマスカスタマイゼーション対応を強化

DIGITAL X 編集部
2017年10月30日

マスカスタマイゼーションに取り組むスウェーデンのバス・トラック製造大手のScaniaは、3D設計データを活用するためのPLM(Product Lifecycle Management)環境を刷新する。最終製品のテスト/検証にシミュレーションサービスを導入するほか、開発から製造、販売、サービスまでのプロセスもシミュレーションできるようにする。そのために3D CAD大手の仏Dassault Systèmesと合意書を結んだ。Dassaultが2017年10月11日に発表した。

 Scaniaでは、マスカスタマイゼーションに対応するために、製品のモジュール化を進めている。顧客の注文に応じてモジュールを組み合わせて最終製品を製造する。注文に柔軟に応えられる半面、モジュール数が膨大になり、その組み合わせは無数に考えられる。結果、最終製品の1台1台の検証やテストにかかる時間が膨らみ続けるという問題を抱えていた。

 今後の導入計画ではまず、製品の検証/テスト時間の削減に向けて、設計データから完成品をシミュレーションできるようにする。モジュールの設計データを一括管理しておき、それぞれのモジュールを顧客の注文に応じて組み合わせた結果をシミュレートする。生産前に各部を検証することで、製造後の検証/テストにかかる時間の短縮を狙う。併せて、顧客自身が組み合わせを選択するためのアプリケーションも構築し提供する計画だ。

 導入するのは仏Dassault Systèmesの「3D EXPERIENCEプラットフォーム」。3D設計ソフトウェアや、3Dデジタルモックアップ、PLMなどを統合した環境である。クラウドサービスのほか、利用企業が持つサーバーで運用するオンプレミス形態や、クラウド事業者が提供する専有クラウドでの運用もできる。Scaniaが、どの形態で利用するかは発表されていない。

 マスカスタマイゼーションは、顧客1人ひとりのの注文に応じて製品を作り分ける考え方。多様化する顧客ニーズに対応するために多くの製造業が直面している課題である。多数の完成品が考えられる中で、製造の自動化を進めながら生産効率を高める必要がある。独政府が進める「Industry 4.0」などもマスカスタマイゼーションへの対応を掲げている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名スウェーデンのScania
業種製造
地域スウェーデン・セーデルテリエ市
課題生産方式をモジュール化した結果、モジュールの組み合わせが無数に発生し、それぞれの製品の検証などに時間がかかるようになった
解決の仕組み3D設計データを一元管理し、顧客が選択した組み合わせを製造前にシミュレーションすることで検証/テスト時間を短縮する。併せて、開発から製造、販売、サービスまでのプロセスについてもシミュレーションできるようにする
推進母体/体制Scania、仏Dassault Systèmes
活用しているデータ製品を構成するモジュールの設計データ
採用している製品/サービス/技術シミュレーションサービスの「3DEXPERIENCE」(Dassault Systèmes製)
稼働時期不明(2017年10月にシステム構築に向けた合意書を締結)