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ロシアのモスクワ市、渋滞緩和を狙ったNEDOらとの実証事業で最大40%の効果を確認

DIGITAL X 編集部
2017年11月8日

ロシアのモスクワ市は、市内の交通渋滞の緩和を目指し日本のNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)などと実証実験に取り組んできた。その実験が、このほど完了し、最大で40%の渋滞緩和効果を確認できた。実験を実施したNEDOと、京三製作所、野村総合研究所(NRI)が2017年11月1日に発表した。

 ロシアでは現在、深刻な交通渋滞の解消に向けて、信号システムの更新を計画している。実証実験では、日本が持つ信号システムがロシアの交通渋滞を解消できるかどうかを確認した。現行の信号システムは、中央の管制センターからの指示で切り替えるもので、交通量を考慮して切り替え時間を変えることができなかった。

 今回の実証実験では、モスクワ市内のオニェジスカヤ通りで、約2kmの区間にある連続する5つの交差点に、日本で稼働し、渋滞緩和の実績がある「自律分散信号システム」を設置。交通量に応じて信号の切り替え時間を制御すること渋滞を緩和できることを確かめた。

 実験の結果、最大で40%の渋滞緩和効果を確認できたとしている。具体的には、対象の2kmの区間をモスクワ市内に向かって走行するのに従来は平均で7分54秒かかっていたものが、自律分散信号システムでは平均4分46秒で通過できるようになった。

 自律分散信号システムは大きく2つの機器からなっている(図1)。通りの交通量を検知する感知器(センサー)と、センサーからの信号を受信・分析し信号の切り替える制御器である。制御器は、交通量が多いときと少ないときで、信号の切替間隔を「信号の待ち時間が最小」になるように制御する。

図1:今回の実証実験で利用したシステムの構成

 同システムでは、センサーと制御器が自律的なネットワークを構成する。大規模な中央管理システムが不要で、初期導入コストを抑えられるという。

 実証実験を担当した3者は、実験で得られた成果をアピールし、モスクワ市以外の地域に向けても同様のシステムを提案するとしている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名ロシア・モスクワ市交通管制センター(TsODD)
業種公共
地域ロシア・モスクワ市
課題信号機が中央の管制センターからの指示で動作しており、交通量に応じて柔軟に制御できず、渋滞を引き起こしていた
解決の仕組み日本の「自律分散信号システム」を導入し、交通量に応じて信号の待ち時間が最小になるように信号の切り替え感覚を制御する
推進母体/体制モスクワ市交通管制センター(TsODD)、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)、京三製作所、野村総合研究所(NRI)
活用しているデータ道路の各所に設置したセンサーで検知した交通量データ
採用している製品/サービス/技術自律分散信号システム。交通量センサーと、その情報を基に信号を切り替える制御器からなる
稼働時期2015年12月から2017年10月