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長野県教育委員会、生徒の思考力や人間性などの把握に向けた実証実験を開始

DIGITAL X 編集部
2017年11月24日

長野県教育委員会は、次期学習指導要領を睨み、生徒の思考力や人間性などを把握するためのシステムの実証実験に取り組む。生徒の学習過程を追跡し、そこから、何を考えたのかや主体的に取り組んだのかなどを判断する。システムを納入する富士通と富士通総研が2017年11月9日に発表した。

 文部科学省が2018年度(高校は2019年度)から先行実施する予定の「次期学習指導要領」では、生徒一人ひとりが身につけるべき能力・資質として「知識、技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」の3つを挙げ、それぞれをバランス良く育成することが重要だとしている。これら3つの能力のうち、「知識、技能」はテストや実技で把握できるが、残り2つは測定からして難しかった。今回の実証実験は、これら2つの能力の把握を狙う。

 対象にするのは、長野県教育委員会が取り組む「探究学習」。内閣府が運営する地域経済分析システム「RESAS(Regional Economy and Society Analyzing System)」が提供する産業動態や人口の推移などのオープンデータを元に、生徒が試行錯誤を重ねながら地域課題の解決策を見付け出す授業である。

 実証では、生徒全員にタブレット端末を配布し、同タブレットを使って探求学習に取り組ませる。紙と同じ感覚で手書き入力ができる「デジタルワークシート」を使うことで、学習時の記述内容をクラウドに保存する。併せて、教師からの質問やアンケートへの回答内容なども記録する。クラウドに蓄積した生徒一人ひとりの学習履歴を教師が見て、生徒が、どんなことを考え悩んでいたのか、主体的に学習しているかといった点を把握し、個々の生徒に合わせた指導に活用する。

 実証実験は、松本県ヶ丘高校(長野県松本市)と長野高校(長野市)の2校で、2017年11月から2018年3月末まで実施する。

 システムを構築する富士通と富士通総研は、実験で得たデータを分析し、学校現場のニーズに合ったシステムの開発につなげる考えである。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名長野県教育委員会
業種教育
地域長野県松本市、長野市
課題生徒が身につけるべき能力・資質として「次期学習指導要領」が挙げる「知識、技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」の3つのうち、思考力や人間性などは測定が難しく、客観的な把握が難しい
解決の仕組みタブレットを使い、生徒の学習履歴を収集し、どのように考えて学習を進めたのかを把握する
推進母体/体制長野県教育委員会、富士通/富士通総研
活用しているデータ生徒一人ひとりが学習過程で手書きで書き込んだ内容やアンケートへの回答などのデータ
採用している製品/サービス/技術、手書き入力ができる「デジタルワークシート」(富士通総研製)と、学習履歴を管理する「FUJITSU 文教ソリューション K-12 学習情報活用 知恵たま」(富士通製)
稼働時期2017年11月から2018年3月末