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オランダのヨットチーム、選手の体調分析にIoTを採用

DIGITAL X 編集部
2017年11月28日

世界でも過酷とされるヨットレースに参加するオランダのチームが、選手の体調管理にIoT(Internet of Things:モノのインターネット)技術を採用した。生体センサーで得たデータを元に、選手の疲労度やストレス度合いを把握することで、休養期間などを調整し、レース期間中の選手の能力の最大化を図る。システムを納入した独SAPが2017年11月2日に発表した。

 システムを導入したのは、オランダを本拠とする「Team AkzoNobel(チーム・アクゾノーベル)」(図1)。世界を各地を巡りながら実施する海洋ヨットレースの「2017-18 Volvo Ocean Race」に参加している。

図1:「Team AkzoNobel」のヨット

 2017-18 Volvo Ocean Raceでは、合計で11戦を戦う。第1線はスペインのアリカンテからポルトガルのリスボンまでがコース。その後、世界12都市を回るなかには、南アフリカのケープタウンからオーストラリアのメルボルンまでを移動するレースもある。2018年6月30日にオランダのハーグで閉幕するまで、過酷なレースが続く。

 このレース期間中、すべてのレースにおいて全選手がベストの体調で参戦するために、Team AkzoNobelはIoTの技術を利用する。具体的には、選手に生体センサーを24時間身に付けさ、そのデータを分析することで、個々の乗員の疲労度合いやストレス強度などを算出。船長(スキッパー)が分析結果を確認し、たとえば疲労が貯まっている選手は長めに休ませるなどの対策を打つ。

 Team AkzoNobelの船長であるSimeon Tienpont氏は「従来、レース中の関心事は天候やルートでした。今後は、乗員の体調を把握し、能力を最大限に引き出すための方法も考えられるようになりました。技術革新がヨットレースの可能性を広げ、レースの勝敗を分ける要素になるかもしれません」と語っている。

 データ分析には独SAPのIoTプラットフォーム「SAP Leonardo IoT Foundation」を利用する。レース時にヨットが海上を走っている間は、ヨットに搭載したコンピューター上で「SAP Leonardo IoT Edge」を動作させてデータを収集。レース期間中に寄港する12都市で、データをLeonardo IoT Foundationに送信し分析する。その分析結果を見て船長は、次の寄港地に向けたレースに向けて準備することになる。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名海洋ヨットレースに参戦しているオランダTeam AkzoNobel
業種サービス
地域世界13都市
課題長期間に渡るレースシリーズの間、すべての選手の体調を的確に把握する手段がなかった
解決の仕組み選手が24時間身に付けるセンサーから生体データを取得・分析し、疲労度合いやストレス強度などを算出する
推進母体/体制オランダTeam AkzoNobel、独SAP
活用しているデータ選手の生体データなど
採用している製品/サービス/技術IoTプラットフォームの「SAP Leonardo IoT Foundation」と「SAP Leonardo IoT Edge」(独SAP製)
稼働時期2017年10月から2018年6月末(2017年シーズンのヨットレース期間)