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川崎市、津波予測や事前対策に向けたAI活用などを東大、東北大、富士通と共同で検討へ

DIGITAL X 編集部
2017年12月11日

川崎市は、津波の予測や事前対策立案などへの先端のデジタルテクノロジーの活用を検討する。東京大学地震研究所、東北大学災害科学国際研究所、富士通が参加する。2017年11月24日に発表した。

 川崎市は、臨海部を対象にした津波の予測や事前対策の立案に、スーパーコンピューターやAI(人工知能)などの活用を検討する。東日本大震災以降、沖合に津波観測設備を設置する例が増え、同設備を利用する津波予測手法の研究が進んでいる。川崎市も沖合に津波観測設備を設置しており、そのデータをスーパーコンピュータなどで分析することを考えている。

 具体的には次の4項目について、データ解析手法や活用する技術などを検討する。1つは、沿岸波形をより高い精度で予測すること。沖合の津波観測機器から得たデータから、市の臨海部沿岸に津波が到達する際の、波の高さといった波形と到達時間を高精度で予測する手法を検討する。さまざまな地震を想定し、その手法の精度を検証する。

 2つ目は、津波による浸水状態のリアルタイムでの解析。臨海部に津波が到達したときに、どのように浸水していくのかをリアルタイム、かつ高解像度でシミュレーションするモデルを構築する。

 3つ目は、地域情報の活用方法の検討。地域住民の行動をモデル化しシミュレーションすることで、先の2つの予測によって期待できる減災効果を評価する。その結果に応じて、地域情報の有効な活用方法を検討する。

 最後は、複雑な津波の動きをシミュレーションにより事前に把握すること。川崎市の沿岸部は東京湾の内海で、複数の人口運河があるため、押し寄せる津波の動きが複雑になる。その動きをシミュレーションで予測し、事前に把握することを目指す。

 これらの取り組みでは、東北大学災害科学国際研究所と富士通研究所が開発した津波浸水シミュレーション技術や、東北大学災害科学国際研究所と富士通総研による、避難行動をモデル化した津波避難シミュレーション技術を活用する。

 今回の検討に参加する4者は、川崎市臨海部を対象にした検討を完了させた後、予測の不確実性を考慮に入れたうえでの活用方法や、ほかの津波予報/警報との整合性など、実用化に向けた課題を検討する。将来は川崎市臨海部に限らず、南海トラフ沿岸域などさまざまな地域への技術導入を目指すとしている。

 津波予測には、広域を対象にした予測と、特定地域を対象にした予測がある。特定地域を対象にした予測では。地形などの条件によって難易度が大きく変わる。たとえば、南海トラフ大地震が発生すれば数分で津波が押し寄せるという予測があるが、川崎市沿岸部に限れば。その予測は大きく異なってくる。東京湾の内海である川崎市沿岸部では、南海トラフ大地震が発生してから津波が到達するまでに1時間以上かかるという。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名川崎市
業種公共
地域川崎市臨海部
課題地域ごとに異なる条件を考慮に入れた津波の予測および減災策が必要
解決の仕組み沖合の津波観測データをスーパーコンピュータやAIなどの最新技術で分析
推進母体/体制川崎市、東京大学地震研究所、東北大学災害科学国際研究所、富士通
活用しているデータ沖合の津波観測点で取得する時系列の観測データなど
採用している製品/サービス/技術津波浸水シミュレーション技術(東北大学災害科学国際研究所、富士通研究所)、津波避難シミュレーション技術(東北大学災害科学国際研究所、富士通研究所)など
稼働時期検討中