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GE Healthcare、より正確な診断に向け画像診断装置にGPUとAIを搭載

DIGITAL X 編集部
2017年12月18日

英GE Healthcareが、GPU(Graphics Processing Unit)を組み込んだCT検査装置と超音波検査装置を開発した。画像処理速度を高め、医師が見ても判断が難しい不鮮明な画像の数を減らしたという。北米放射線学会の第103回年次総会で2017年11月26日に発表している。

 開発した画像診断装置には、NVIDIA製のGPUと機械学習ソフトウェアを組み込んだ。CT検査装置の「Revolution Frontier」では、従来製品に比べ、画像処理速度が2倍に高まったとしている(図1)。患者に付着している金属が原因で発生する虚像(金属アーティファクト)を排除するなどで、医師が見ても何も読み取れないような画像を削減する。これまで読み取れなかったら病変が読み取れるようになるため、患者がCTスキャンを受ける回数も減らせる。

図1:GE Healthcareが新たに発表したCT検査装置「Revolution Frontier」

 超音波診断装置「Vivid E95 4D」では、より精細な4D(x、y、z、time)画像を映せるようになった(図2)。両機種の開発においては、新たなディープラーニング(深層学習)アルゴリズムの開発にNVIDIA GPU Cloudのコンテナを利用し、開発期間を短縮したとしている。

図1:GE Healthcareの超音波診断装置「Vivid E95 4D」

 GE Healthcareは今回、大量の医療データの処理技術開発に向けて今後10年間NVIDIAと提携することも発表した。GE Healthcareによれば、医療画像やカルテ、センサーデータ、業務、財務データなど、1件の病院で1年間に生成するデータの量は平均50ペタバイトに達する。ところが、すぐに使えるデータや、タグ付け可能なデータ、分析対象になるデータは全体の3%未満にすぎないという。GE HealthcareはNVIDIAと共同で、GPUや機械学習、ディープラーニングを活用し病院内データの有効活用を進めたい考えだ。

 なおGE Healthcareは、Intelとも提携を結んでいる。画像診断装置やクラウドにIntelのサーバー向け最新プロセサ「Xeon Scalable Processor」と、仮想化ソフトウェア「Wind River Titanium Control」を採用する。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名英GE Healthcare
業種医療・健康
地域イギリス・バッキンガムシャー州リトルチャルフォント
課題画像診断装置が出力する透視画像に、医師が見ても判断材料にしにくいものがある。加えて、画像処理の速度を向上させる必要もある
解決の仕組みGPUと機械学習、ディープラーニング関連のソフトウェアを組み込んで精細な透視画像を高速に処理して出力できるようにした
推進母体/体制英GE Healthcare、NVIDIA、Intel
活用しているデータCT検査や超音波検査の画像データ
採用している製品/サービス/技術NVIDIA製のGPUと機械学習、ディープラーニング関連ソフトウェア。Intel製のサーバー向け最新プロセサ「Xeon Scalable Processor」と仮想化ソフトウェア「Wind River Titanium Control」