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神戸「北野工房のまち」、来店客の属性や来店頻度の把握に向け防犯カメラとCRMシステムを連携

DIGITAL X 編集部
2018年1月15日

神戸市の商業施設「北野工房のまち」で、防犯カメラとCRM(Customer Relationship Management)システムを連携し、来店客の年代や性別といった属性と来店頻度を把握する実証実験が始まっている。商業施設の活性化に向けた各種サービスを提供するサウンドプランが実施するもので、防犯カメラなどを提供するボッシュセキュリティシステムズと、CRMシステムを提供するブレインパッドが2017年12月18日に発表した。

 「北野工房のまち」は、廃校になった小学校を流用し1998年にオープンした商業施設(図1)。同施設の活性化を支援するサウンドプランはこれまで、各種センサーを設置し客の来店状況を分析してきたが、来店客の年代・性別などの属性や来店頻度を把握できていないことが課題になっていた。

図1:「北野工房のまち」の入り口(左)と、内部

 そこで、防犯カメラの映像から人の顔の画像を切り出してCRMシステムに投入。その画像をAI(人工知能)で分析することで個人を特定する仕組みを実証する。個人が特定できれば、CRMが管理する過去の来店履歴や購買履歴などのデータと組み合わせられるため、そうした情報を店頭の販売スタッフが持つ携帯端末や決済端末に送信し、顧客の好みなどを加味した接客などに役立てる(図2)。

図2:防犯カメラの映像から個人を特定し、接客に役立てる

 新たに収集したデータを分析することで、来店したものの購入に至らなかった客の特徴や、曜日・時間帯によって来店客の属性に変化があるのかどうかなど、売り場の最新状況を把握する。分析結果は、経営層やマネジャー層にはグラフなどの形で提供する。分析結果と会員カード情報を組み合わせて、メール配信、SNS(Social Networking Service)を利用したマーケティング施策にも活用したい考えだ。

 システムとしては、ボッシュセキュリティシステムズの防犯カメラと、ブレインパッドのCRMシステムを組み合わせた「おもてなしサポートシステム」を使用する。防犯カメラが映像から人の顔の画像を切り出してCRMシステムに送信、AIによる個人の特定はCRM側で実施する。

 ブレインパッドのCRMシステムはMicrosoftのクラウド「Microsoft Azure」上で動作しており、顔写真からの個人特定には、Microsoft Azureが持つ「Microsoft Azure Cognitive Services」を使用している。経営層/マネジャー向けのグラフ作成はデータ分析ツールの「Power BI」を使って視覚化を図っている。データを分析するアナリストにはExcel形式のデータを提供する(図3)。

図3:「おもてなしサポートシステム」のシステム概念

 なお実験で取得した顔写真や特定した個人情報は、個人が識別できない形に加工した後、実験終了後には完全に抹消するとしている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名サウンドプラン
業種流通・小売り
地域神戸市
課題来店客の年代・性別などの属性や来店頻度を把握できていなかった
解決の仕組み顔画像を切り出せる防犯カメラとCRMシステムを連携させ、顔画像をAI(人工知能)で分析することで個人を特定する
推進母体/体制サウンドプラン、ボッシュセキュリティシステムズ、ブレインパッド
活用しているデータ防犯カメラの映像から切り出した顔写真データ、CRMで管理する顧客データや購買履歴など
採用している製品/サービス/技術防犯カメラ(独Bosch Security Systems製)、CRMシステム(ブレインパッド製)、クラウドシステム「Microsoft Azure」(米Microsoft製)、AIサービス「Microsoft Azure Cognitive Services」(米Microsoft製)など
稼働時期2017年12月21日~2018年1月31日