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ヤマト運輸、乗合バスで貨物を運送する「客貨混載」を愛知県豊田市で開始

DIGITAL X 編集部
2018年1月31日

ヤマト運輸が、乗合バスに荷物を載せて運搬する「客貨混載」の実運用を愛知県豊田市で開始した。2017年8月に実証実験を実施した仕組みで、効果が確認できた路線で実際に運用する。2018年1月26日に発表した。

 ヤマト運輸が客貨混載に利用する乗合バスは、「とよたおいでんバス稲武・足助線」。豊田市岩神町の「足助病院(あすけびょういん)」と豊田市武節町の「どんぐりの湯前」を結ぶ路線で、豊田市が運営し豊栄交通が運行している(図1)。

図1:「とよたおいでんバス稲武・足助線」の運航地域

 どんぐりの湯前周辺の稲武地区では、乗合バスが通学や通院、買い物など地域住民の貴重な足になっている(写真1)。ただ高齢化と過疎化が進むなかでバス路線の維持が困難になりつつある。

写真1:「とよたおいでんバス」の外観

 一方、ヤマト運輸も稲武地区への荷物配送は、荷物が少ない割には走行距離が長く、効率が良くなかった。客貨混載では、座席の一部を荷物用スペースに改造したバス車両1台を用意し、稲武地区に送る荷物をまとめて運ぶ。

 具体的には、毎日14時55分に足助病院を出発し、15:43分にどんぐりの湯前に到着するバスに荷物を載せる。出発前に車両待機場で荷物を運び込み、終着点のどんぐりの湯前到着後に車両待機場に移動して荷物を下ろし、稲武地区の各世帯に運ぶ。

 ヤマト運輸は客貨混載によって、往復90分の走行時間を節約でき、運転手の作業効率が上がると考えている。燃料費やCO2排出量の削減にもつながるとしている。

 豊田市と豊栄交通は、ヤマト運輸からの荷物配送を請け負うことが新たな収入源になり、バス路線網を維持できると見込んでいる。バス路線網を維持できれば、地域住民の貴重な足を引き続き提供でき、地域住民の生活基盤を保てる。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名ヤマト運輸、愛知県豊田市、豊栄交通
業種物流
地域愛知県豊田市
課題人口が少ない地域への配送では、少ない荷物を長い時間をかけて運ばなければならず効率が悪い
解決の仕組み人口が少ない地域に向かう乗合バスに、荷物をまとめて載せて運ぶことで効率を高める
推進母体/体制ヤマト運輸、愛知県豊田市、豊栄交通
活用しているデータ不明
採用している製品/サービス/技術座席の一部を荷台スペースに改造した乗合バス
稼働時期2018年1月26日から