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コンビニの商品情報をサプライチェーン全体で共有、経産省などが都心3店舗で実験

DIGITAL X 編集部
2018年2月13日

コンビニエンスストアが扱う商品情報をメーカーや卸を含むサプライチェーン全体で共有する仕組みの実証実験が2018年2月14日から始まる。「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」に基づくもので、2月23日まで実施する。経済産業省やNEDOのほか、実験に参加する企業らが2018年2月2日に発表した。

 実験するのは、商品に電子タグ(RFID=Radio Frequency Identificationタグ)を貼り付け、そのタグ情報をサプライチェーンに参画する企業が共有するための仕組み。在庫情報などを関係企業が参照・共有することで、余剰在庫や食品の破棄などの問題の発生を抑えることを目指す(図1)。一般に、サプライチェー情報を流れる商品の情報は、メーカーや卸、物流、店舗などのそれぞれが個別に保有しているのが現状だ。

図1:電子タグの情報からあらゆる情報を参照できるシステムを作る

 実験に参加するコンビニは、ファミリーマート経済産業省店、ミニストップ神田錦町3丁目店、ローソン丸の内パークビル店の3店舗。加工食品や日用品は実験用の物流センターに集めて、全商品に電子タグを貼り付ける。メーカーが店舗に直送する商品は、メーカーが電子タグを貼り付ける。各店舗では、入荷時や販売時に電子タグを読み取り、データを情報共有システムに送る。

 経産省は2017年4月に、コンビニ各社と共同で「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」を策定し、2025年までにコンビニ各社の取扱商品のすべてに電子タグを添付し利用することを合意している。今回の実験は、全商品添付時に電子タグを使って商品が、いつ、どこに、何個あるのかをサプライチェーン全体で共有するための仕組みの実用性を確かめる。

 実験は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の実証事業で、大日本印刷に委託されている。コンビニ3社のほか、メーカーとしてはUCC上島珈琲、江崎グリコ、カルビー、東洋水産、P&Gジャパン、山崎製パン、ライオンの7社が、物流事業者としては日立物流が、卸としては各社を担当する事業者が、それぞれ参加する。

 情報共有システムの構築・運用には、ウェルキャット、帝人、東芝テック、デンソーウェーブ、日本パレットレンタル、パナソニック、富士通、日本マイクロソフトが協力している。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名経済産業省、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)、大日本印刷
業種流通・小売り
地域東京都千代田区
課題商品の生産地、消費期限、在庫などのデータをサプライチェーンを構成する業者が個別に保有し共有できていない
解決の仕組み商品1つひとつに貼り付けた電子タグの情報を共有するシステムを構築し、関係者が需要変動により素早く対応できるようにする
推進母体/体制NEDO、経済産業省、大日本印刷、ファミリーマート、ミニストップ、ローソンほか
活用しているデータ商品に貼り付けた電子タグから得られるサプライチェーン内での商品の扱い状況を示すデータ
採用している製品/サービス/技術実験用に構築した情報共有システム、電子タグなど
稼働時期2018年2月14日から23日