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タイ郵便が郵便サービスの電子化を推進、まずは電子私書箱を日立と検証
タイの国営郵便事業会社であるThailand Post(タイ郵便)は、住民に対する情報格差解消に向け、各種郵便サービスの電子化を進める。第1弾として、電子私書箱システムを検証し、政府自治体が発する情報が住民一人ひとりへ確実に伝わるようにする。システム構築には日立製作所とタイの現地法人である日立アジア(タイランド)が協力する。日立製作所が2018年2月20日に発表した。
タイ郵便は、タイのデジタル経済社会省の傘下にある郵便事業会社。デジタル経済社会省と日本の総務省は、郵便分野での協力を決め、2017年6月には、両大臣の間で「情報通信デジタル技術分野における協力に関する覚書」を締結した。その一環として総務省は調査事業を実施している。同事業を日立製作所が受託し、電子私書箱システムを実証実験する。
それに先立ち、タイ郵便と日立、および日立の現地法人である日立アジア(タイランド)は、各種郵便事業の電子化を支援することで基本合意を結んだ。日立がもつ郵便システムのノウハウなどを使いながら、タイ郵便が求める郵便サービスを実現していく。
検証する電子私書箱システムは、ネット上に電子私書箱を用意し、住民はPCやスマートフォンを使って自身に届いた通知などを受け取るための仕組み(図1)。住民が望めば、電子私書箱に届いた通知を郵便局が印刷して配達することにも対応する。タイ郵便の郵便配達網と通信ネットワークを組み合わせることで、住民間に存在するデジタルデバイド(情報格差)の解消を図る。
行政情報のほか、ダイレクトメールや請求書といった民間企業からの各種通知に関してもニーズを調査し、タイ郵便のサービスとして実現できるかどうかも検討する。3社は今後、郵便のデジタル化や行政代行機能の拡充など、郵便サービスを高めるための将来計画も検討する予定だ。
タイ政府は現在、「Thailand 4.0(タイランド4.0)」を掲げ、各種の経済政策に取り組んでいる。Thailand 4.0の重要施策の1つに、東部経済回廊(EEC:Eastern Economic Corridor)計画がある。EECでは、タイ東部3県(チョンブリー県、ラヨーン県、チャチューンサオ県)を対象に、医療や航空、ロボットなど、先端技術産業10業種への投資を促進するほか、幹線道路や空港などの社会インフラを拡張整備する。
EEC政策委員会は、EEC計画におけるIoT(Internet of Things:モノのインターネット)技術活用に向けて、日立と協力合意書を締結している。日立はEEC計画への参加に向けて、現地に拠点を設立することを検討している。
企業/組織名 | タイThailand Post(タイ郵便) |
業種 | 物流 |
地域 | タイ・バンコク ラックシー区 |
課題 | 政府自治体が出している行政情報が国民に行き届いていない |
解決の仕組み | 郵便局が住民一人ひとりにスマートフォンからアクセスする「電子私書箱」を用意する。必要があれば郵便局が電子私書箱に届いた情報を印刷して住民に配達する |
推進母体/体制 | Thailand Post、日立アジア(タイランド)社、日立製作所 |
活用しているデータ | 行政情報 |
採用している製品/サービス/技術 | 不明 |