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旭酒造、「獺祭」の醸造にAI予測モデルを適用する実証実験を開始

DIGITAL X 編集部
2018年4月27日

日本酒の「獺祭」を生産する旭酒造は、その醸造にAI(人工知能)を適用する実証実験を開始した。計測した温度や比重、成分データからAI予測モデルを作成し、熟練者と同等の品質を再現できるようにする。実証実験に協力する富士通とともに2018年4月19日に発表した。

 旭酒造はすでに、酒造りにIoT(Internet of Things:モノのインターネット)の概念を採り入れ、「獺祭」の醸造工程における温度や比重、成分などのデータを取得し活用してきた。今回、これらデータをAI(人工知能)で分析し、従来どおりの品質で獺祭を生産できることを検証する。

 具体的には、獺祭の完成品の成分や、酒造りに成功した醸造工程における温度や比重などのデータを再現するAI予測モデルを構築する。実際の生産工程で、AIが予測した情報を確認しながら醸造作業を進めることで、そのAI予測モデルが有用であることを確認・検証する(図1)。さらに従業員の経験や勘に基づく行動もデータとして取り込む。

図1:獺祭の醸造工程を支える技術。今回は図の上部にある「醸造工程のAI予測システム」を検証する

 AI予測モデルができれば、AIが提示する製造支援情報に基づく醸造に取り組む。その作業を2度繰り返すことでAI予測モデルの精度を上げ、日本酒づくりにAIが有用であることを証明。そのうえで予測モデルによる醸造を実用化したい考えだ。

 実証実験には、富士通と富士通研究所が協力する。旭酒造を含む3社は実証実験の成果を検証し、日本酒の醸造工程におけるAIの実用化を進めることで、高品質で均一な日本酒造りを目指す。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名旭酒造
業種製造
地域山口県岩国市
課題良質な日本酒をつくる工程を割り出し、再現可能なものにしたい
解決の仕組み日本酒の成分などのデータからAI予測モデルを構築し、実際の作業と照らし合わせながら精度を上げていく
推進母体/体制旭酒造、富士通、富士通研究所
活用しているデータ出来上がった日本酒の成分データ、醸造中の圧力データ、データ化した従業員の経験や勘など
採用している製品/サービス/技術AI技術「Fujitsu Human Centric AI Zinrai」(富士通製)
稼働時期2018年4月~6月