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三菱重工航空エンジン、スマートファクトリーの実現に向けIoTデータを分析

DIGITAL X 編集部
2018年8月2日

三菱重工航空エンジンが、スマートファクトリーを実現するために、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)データの分析・活用に取り組んでいる。製造現場に設置したセンサーデータを品質管理と設備保全に利用する。データ分析システムを提供するSAS Institute Japanが2018年7月10日に発表した。

 三菱重工航空エンジンは、仏Airbusや米Boeingの民間旅客機向けエンジンの共同開発や部品製造などを手がけている。民間航空機の需要が伸長するとみて三菱重工業から2014年に分割する形で設立された。

 民間航空機市場は、新興国およびLCC(格安航空会社)からの需要増などにより、今後20年間で2倍以上のる5兆ドル(555兆円、1ドル111円換算)に拡大すると予測されている。実際、三菱重工航空エンジンの主力製品であるタービンブレードも需要が拡大している。

 需要増に対し、これまで、増産体制により対応してきた。だが需要に応え切れなくなる可能性が高まってきたことから、業務効率を引き上げ、生産量の増加と不良品率の低下などに取り組むことにした。

 そのため、これまでの個々の部品にRFIDタグを貼り付けての生産工程管理に加え、センサーデータや工作機械の設定情報データなどを加味し、データを統合的に分析する。

 たとえば、タービンブレードの溶接工程における品質予測や、燃焼器ケースの切削加工工程における切削用刃の欠損予兆の検知が可能になる。予定外の生産ライン停止を回避しながら、求められる品質を持つ部品などを確実に生産できるようにする。

 予測に使用する分析モデルの構築には、米SAS Instituteが開発した独自の機械学習アルゴリズムを採り入ることで、モデル作成に必要な時間を短縮し、予測の精度と安定性を高めた。

 分析環境もSASの単一プラットフォームに統合することで、センサーデータなどの分析作業を自社内で実施できる環境を整えた。分析結果を生産現場の改善にいち早く反映させられると見込んでいる。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名三菱重工航空エンジン
業種製造
地域愛知県小牧市
課題民間航空機用ターボファンエンジンの需要が増大し、そのための主要部品などの生産体制が増産の確保だけでは応え切れない可能性が出てきた
解決の仕組みセンサーデータなどを統合的に分析することで、生産品質の確保や製造設備のトラブル発生を予検し、生産品質と生産効率を高める
推進母体/体制三菱重工航空エンジン、SAS Institute Japan
活用しているデータ部品に取り付けたRFIDタグのデータ、製造現場のセンサーデータ、製造設備の設定データなど
採用している製品/サービス/技術AI機能を持つデータ分析基盤(米SAS Institute製)
稼働時期不明