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EVベンチャーの中国BYTON、コネクテッドカーの実現に向け加BlackBerryのリアルタイムOSを採用

DIGITAL X 編集部
2018年7月30日

中国のEV(電気自動車)ベンチャーであるBYTONは、中国で2019年の発売を予定している市販車にインターネットとの通信機能を持たせるために、カナダのBlackBerryが開発・販売するリアルタイムOSを採用することを決めた。加BlackBerryが2018年6月21日に発表した。

 中国のBYTONは、2018年1月に開かれたデジタル製品の展示会CESにおいて、コンセプトカー「M-Byte」を出展(図1)。同時に中国では2019年に、欧米では2020年に量産車を発売することを明らかにした。

図1:中国BYTONが、中国で2019年に発売を予定しているEV「M-Byte」

 M-Byteは自動運転機能やインタネットとの通信機能を搭載する、いわゆるコネクテッドカーになる予定。運転席と助手席の前方に横長の大型ディスプレイ「BYTON Shared Experience Display」を搭載する(図2)。ディスプレイには、走行速度やナビゲーション情報のほか、インターネットから取得したニュースといった情報や、コミュニケーションツールなどの画面をまとめて表示する計画だ。

図2:M-Byteが搭載する「BYTON Shared Experience Display」

 これらディスプレイに表示するデータのうち、速度など車両の安全に直接関わるデータは、ニュース情報まどのデータとは別に扱うことで安全性を高められる。そこでBYTONは、コネクテッドカーの基本ソフトウェア(OS)に、2つの仮想環境を用意できるリアルタイムOSを採用することにした。一つの仮想環境で、車両の安全に直接関わるソフトウェアやデータを扱い、もう一方の環境でインターネット通信で得られるデータやソフトウェアを動作させる。

 採用したリアルタイムOSは、加BlackBerryの「QNX SDP 7.0」。自動車の機能安全規格の国際基準である「ISO 26262 ASIL D」を取得している。BlackBerryは、BYTONのほか、中国Baiduや、米Delphi、英Jaguar Land Rover、米NVIDIA、米Qualcomm、米Visteon、デンソーなどに自動車向けソフトウェアを提供している。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名中国BYTON
業種製造
地域中国・江蘇省南京市
課題車両の安全に直接関わるデータと、インターネット経由の外部データを扱う必要があるが、セキュリティの観点から両者を別々に扱いたい
解決の仕組み2つの仮想環境を提供できるリアルタイムOSを採用することで、車両の安全に直接関わるデータと、それ以外のデータを分けて扱う
推進母体/体制BYTON、加BlackBerry
活用しているデータ速度など車両の状態を示すデータ、インターネット経由で取得したニュースなどの各種データ
採用している製品/サービス/技術リアルタイムOS「QNX SDP 7.0」、仮想化ソフトウェア「Hypervisor 2.0」(BlackBerry製)
稼働時期採用ソフトウェアを搭載する量産車を中国では2019年に、欧米では2020年にそれぞれ発売する予定