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西松建設が農業用環境センサーの実証実験、崩落防ぐ傾斜監視用センサーを応用

DIGITAL X 編集部
2018年8月7日

西松建設は、農業用環境センサーの実証実験を開始した。圃場に向かうことなく温度や日照を把握できる。斜面の崩落などを防ぐために同社が開発した傾斜監視用センサーの技術を応用する。2018年7月17日に発表した。

 西松建設が実証実験するのは、農業の環境をセンシングするためのクラウドサービス。圃場の温度や日照時間の推移、積算温度などのデータを取得し、営農者が収穫時期などを客観的に判断できるようにする。北海道石狩郡当別町の営農者の協力を得、ハウスでのトマト栽培や屋外でのカボチャ栽培などのデータを取得する(図1)。

図1:かぼちゃ農場に設置したセンサー。左が通信モジュールで、右が温度センサーを設置したところ

 センサーの計測値はクラウドで集計する。計測値が事前に設定した、しきい値を超えると管理者にメールで通知する。蓄積したデータをグラフで表示したり、センサーの設置場所を表示したりできる(図2)。

図2:センサーによる計測値の推移を表示した画面例。センサーの設置場所も確認できる

 圃場に設置する環境センサーには、同社が開発・販売している傾斜監視用センサー「OKIPPA104」を応用する。OKIPPA104は、造成中の山の斜面など崩落の危険がある斜面に大量に配置し、斜面のわずかな動きを捉えて管理者に知らせるためのセンサー。LPWA(Low Power Wide Area)の無線通信技術「Sigfox」に対応し、通信コストを抑えられるのが特徴だ。

 農業用として、通信モジュールから温度センサーと日照センサーまでのケーブル長を伸ばした。センサーを適切な位置に配置するためだ。通信モジュールと両センサーは僅かな消費電力で動作するように設計した。電源には乾電池を使い、1年程度なら電池交換の必要はないという(図3)。

図3:センサーと通信モジュールのセット

 西松建設は今後、実証実験を通してシステムを改良し、営農者の勘や経験に頼っていた部分を客観的なデータで表現できるようにする。手軽に使い始められる環境監視クラウドシステムとしての実用化を目指す。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名西松建設
業種農林水産
地域東京都港区
課題作物を育てるには、頻繁に圃場に向かい、温度や日照の度合いをこまめにチェックする必要があるほか、経験や勘に頼る部分が多く後進の指導も難しい
解決の仕組み温度センサーと日照センサーを圃場に設置し、クラウドで集計することで可視化する
推進母体/体制西松建設、京セラコミュニケーションシステム(KCCS)
活用しているデータ圃場の温度データ、日照データなど
採用している製品/サービス/技術IoT端末向け無線通信サービス「Sigfox」(仏Sigfox製、日本ではKCCSが提供)
稼働時期2018年7月