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低温物流大手のニチレイロジグループ、冷凍設備の故障予知や省エネルギーに向けたIoTを日立と共同で実証へ

DIGITAL X 編集部
2018年9月11日

冷凍食品など低温状態での物流を専門にするニチレイロジグループは2018年9月から、倉庫の冷凍設備の故障時期予測とエネルギー消費量削減に向けたIoT(Internet of Things:モノのインターネット)システムの実証を日立製作所と共同で開始する。両社が2018年8月28日に発表した。

 2018年9月に開始するのは、ニチレイロジグループの船橋物流センター(千葉県船橋市)の冷凍設備におけるIoT(Internet of Things:モノのインターネット)の実証実験(図1)。センター内の冷凍設備6台に新たに開発したシステムを接続。設備の稼働データを収集・蓄積し、それを分析することで故障の予兆を検知するほか、設備をより効率よく運転する方法も導き出す。

図1:ニチレイロジグループの船橋物流センター

 開発したシステムは、日立製作所のIoT基盤「Lumada」の一部である統合エネルギー・設備マネジメントサービス「EMilia」を基にしたもの。冷凍設備のセンサーなどから収集したデータをクラウドに蓄積し、日立グループのデータ解析技術や音解析技術、予兆診断技術などで分析したり、冷凍設備のエネルギー消費を視覚化したりする。

 従来、倉庫の冷凍設備は、熟練の技術者が設備を巡回しながら計器などを目視で確認し、設定を調節することで適切な運転状態を維持していた。接尾は定期的な点検とオーバーホールによって故障部分や劣化部分を探し出し修理していた。

 しかし、熟練の技術者が長年の経験で身に付けた知見は、後進の技術者に伝えるのが容易ではない。一方で熟練技術者が定年を迎え、運用やメンテナンスを担当できる技術者が不足している。

 今回構築したシステムでは、故障の兆候を検出することで、営業運転を邪魔しない時間に修理・点検が実行できるため、日常の目視点検や定期的なオーバーホールに頼らなくて済む。さらに、シミュレーションによる検証では、従来の手法に比べて、運用やメンテナンスにかかるコストを約25%削減できるという結果が得られた。

 ニチレイロジグループは実証結果を検証し、2019年度から国内に約140カ所ある拠点に、およそ870ある冷凍設備に本システムを導入していく計画である。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名ニチレイロジグループ
業種物流
地域東京都中央区
課題低温物流において重要な役割を持つ冷凍設備の保守・メンテナンスが熟練技術者の知見に依存しており、その技術者が定年などにより減少している。故障による業務停止を避けるためにも、熟練者の知見に代わる運用体制を確立したい
解決の仕組み冷凍設備に各種センサーを設置し、そのデータを分析して故障の予兆を検知する。合わせてエネルギー消費量を可視化するとともに、最適な運転方法をデータから導き出す
推進母体/体制ニチレイロジグループ、日立製作所
活用しているデータ冷凍設備の稼働状態を示すデータ
採用している製品/サービス/技術IoT基盤「Lumada」(日立製作所製)、データ解析技術、音解析技術、予兆診断技術(日立グループ製)
稼働時期2018年9月