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浜松倉庫、物流品質を数字でアピールするために倉庫内データを一元管理

DIGITAL X 編集部
2019年9月9日

浜松倉庫は、物流品質の高さを数字で顧客にアピールするために、倉庫内のデータを一元管理する仕組みを稼働させている。顧客からの入出庫依頼もWebによる受付に切り替えるなど、データ重視の体制を推進している。データ分析用のBI(Business Intelligence)ツールを提供したアシストなどが2019年7月8日に発表した。

 浜松倉庫は、1907年創業と100年以上続く浜松拠点の物流会社。物流品質の高さを数字で顧客に訴求するなど、データに基づく物流業務の実施や、その分析で得られた情報による営業強化などに取り組んでいる。

 そのための基盤になっているのが、2018年11月に稼働させたWMS(倉庫管理システム)だ。同システムで倉庫内の情報をリアルタイムに取得するために、全倉庫へWi-Fi環境を整備。人手や目視に頼っていた業務も、ハンディターミナルを使うことでミスを減らしている。

  顧客からの入出庫依頼も、従来の電話やFAX主体からWeb受付に統一し、データ入力の負荷を減らした。顧客に対しても、在庫確認や入出庫状況をリアルタイムに提供できるため、顧客の満足度も高まっているという。

  WMSで一元管理するデータは、BIツールで分析し、出庫にかかる人手や時間などを可視化し、社内の業務改善に利用している。物流品質の高さを示す指標として、顧客が把握している在庫と倉庫にある実在庫の違いを示す「在庫差異率」などに着目。データから導き出した数値による品質の高さを顧客に訴求できるようになったとしている。

 従来のシステムでは、データ抽出や資料作成に手間がかかっていたほか、データ量が多くExcelでは顧客全体の採算を分析できなかった。資料の作成だけで手一杯になり、データから課題を読み解くことに注力できなかったという。BIツールによりレポート作成が容易になったことで、分析作業に注力できるほか、時系列データを扱うことで、業務の効率化や経営判断の高度化にもつながっている。

 WMSには、物流テンプレート「LogiComp-WMS」(豊田自動織機ITソリューションズ製)を、BIツールには「Qlik Sense」(米Qlik Technologies製)を、それぞれ採用した。両製品を組み合わせたことで、LogiComp-WMSのカスタマイズが不要になり、導入・運用のトータルコストを削減できたとしている。

 今後は社内全体で分析・改善活動を活発化し、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やAI(人工知能)などを採り入れながら、さらなる業務効率化を図る。会計システムや人事システムなどが持つデータの可視化や分析にも取り組む計画だ。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名浜松倉庫
業種物流
地域静岡県浜松市(本社)
課題従来システムでは取得できているデータの抽出や資料の作成に時間がかかり、物流品質の高さを顧客に訴求できなかった
解決の仕組み倉庫内情報をリアルタイムに取得し一元管理した上で、BIツールで分析・可視化する
推進母体/体制浜松倉庫、豊田自動織機ITソリューションズ、アシスト
活用しているデータ倉庫の入出庫データやマスター情報など
採用している製品/サービス/技術WMS(倉庫管理システム)の「LogiComp-WMS」(豊田自動織機ITソリューションズ製)、BIツール「Qlik Sense」(米Qlik Technologies製)など
稼働時期WMSとBIツールは2018年11月