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介護サービスのe-ne、空調費の削減に向けてAIとIoTを活用する実証実験

DIGITAL X 編集部
2021年2月8日

介護サービス事業を手掛けるe-neは、サービス付き高齢者住宅における空調費を削減するために、AI(人工知能)とIoT(Internet of Things:モノのインターネット)の両技術を使ってエアコンを遠隔操作するシステムの実証実験を開始した。IoTの仕組みを提供するMomoが2021年1月25日に発表した。

 介護サービス事業者のe-neが取り組むのは、自社で運営するサービス付き高齢者住宅における空調費削減に向けた実証実験。愛知県知立市にある「ミライエ知立 山屋敷」において、エアコンの制御をAI(人工知能)とIoT(Internet of Things:モノのインターネット)の両技術を使って最適化を図りたい考えだ。

 同様の実験を2020年夏に実施した。今回は夏季に動作させたシステムの冬季での効果を確認するのが目的で、最大40%の空調費の削減を見込む。

 実験では、居室内にあるエアコンの電源コンセントにIoTデバイスを装着し消費電力などを測定。併せて室外機周辺の外気温などを温湿度センサーで測定することで、外気温の変化に合わせてエアコンを運転する(図1)。

図1:介護施設の消費電力量において占める割合が高いエアコンを制御することで空調費を削減する

 具体的には、昼間の外気温が30度以上になると予測できる場合は、まだ涼しい午前中からエアコンの冷房運転を始めることで電力消費を下げ、空調費の削減につなげる。

 そのために、センサーで取得したデータを、IoT関連事業を手掛けるベンチャー企業のMomoが運営するサーバーに収集。そのデータと気象庁が提供する気象データを組み合わせ、環境エネルギー総合研究所(EER)がAI技術を使って分析。結果をスマートリモコンに伝えエアコンを制御する。

 EERは同様の仕組みを使い、都市再生機構(UR都市機構)とも共同実験を実施している。UR都市機構との実験では夏場は最大20%、冬場は最大50%程度の電力消費量の削減を確認したという。

 e-neとの実証実験は、UR都市機構との共同研究成果をEERが引き継いで実施する。エアコンの遠隔操作を含むIoTシステムはMomoが開発した。

 MomoとEERは今回実験する仕組みを2021年度中に実用化したい考えで、e-neが病院や高齢者住宅、学校などに向けて販売する計画だ。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名e-ne
業種医療・健康
地域愛知県知立市(サービス付き高齢者住宅「ミライエ知立 山屋敷」)
課題介護施設における空調費を削減したい
解決の仕組み室内および室外機周辺の温度データと、気象情報などをAI技術で分析し消費電力が少なくなるようにエアコンを遠隔操作する
推進母体/体制e-ne、Momo、環境エネルギー総合研究所(EER)
活用しているデータエアコンの消費電力量、室外機周辺の温湿度、気象情報
採用している製品/サービス/技術エアコンの遠隔操作を含むIoTシステム(Momoが開発)
稼働時期2021年1月(実証実験の開始時期)