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神戸市、健康・医療情報から要介護リスクを予測するためのAIモデルを神戸大・日立と共同研究

DIGITAL X 編集部
2022年5月2日

神戸市は、健康・医療情報から要介護リスクをAI(人工知能)技術を使って予測するための共同研究を神戸大学と日立製作所とで開始した。予測の根拠を提示する方法も併せて開発する。2022年1月21日に発表した。

 神戸市が、神戸大学と日立製作所と共同で研究するのは「要介護リスク個別予測モデル」(図1)。神戸市が管理・運用する健康・医療情報を基に要介護リスクを個別に予測するのが目標だ。開発した要介護リスク個別予測モデルは、神戸市が保健・介護の政策づくりに利用するほか、神戸市以外の自治体にも提供する考えだ。個人の介護リスクを予測する研究を政令指定都市規模で実施するのは、これが国内初めてという。

図1:健康・医療情報から個人の要介護リスクを予測するAIモデルを開発する

 研究では、深層学習(ディープラーニング)ではブラックボックス化しやすい予測の根拠を提示する方法も併せて開発する。そのために予測モデルの開発には、日立の「説明可能なAI技術」を用いる。予測に寄与する要因の抽出に加え、要因を生成した根拠データまでさかのぼることで、予測の根拠が説明可能になるとする。

 学習に利用するデータは、神戸市が運用する「ヘルスケアデータ連携システム」から提供する。65才以上の神戸市民を対象に、38万人分の医療情報や介護情報、健診情報など約3000項目が時系列にまとめられている。現時点では2015年度から2019年度までのデータだが、最終的には2024年度までの計10年間分のデータが管理・運用される予定だ。

 個人情報を保護するため神戸市が「神戸市保健事業に係る研究倫理審査会」の承認を経たうえで、個人が特定できる情報を削除し、匿名化した情報を用意する。研究概要を神戸市のWebサイトに掲載し、情報提供を拒否するオプトアウトの機会を設ける。さらに神戸大学が、同じ特徴を持つ人が10人以下のデータ項目を削除する再匿名化を実施し、個人を特定できないようにする。

 研究主体は神戸大学で、代表研究者は同大大学院 医学研究科 地域社会医学・健康科学講座 AI・デジタルヘルス科学分野の榑林 陽一 特命教授。分担研究者が、神戸大学大学院 保健学研究科 パブリックヘルス領域 地域保健学分野の和泉 比佐子 教授と日立になる。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名神戸市
業種公共
地域神戸市
課題保健・介護の政策をより良くするために健康・医療情報から要介護リスクを個別に予測したい
解決の仕組み匿名化した健康・医療情報から要介護リスクを予測するAIモデルを開発する。予測の根拠を提示する方法も併せて開発する
推進母体/体制神戸市、神戸大学、日立製作所
活用しているデータ神戸市の「ヘルスケアデータ連携システム」が管理する65才以上の神戸市民38万人分の医療情報や介護情報、健診情報など約3000項目の時系列データ。2015年度から2024年度までの計10年間分のデータを対象にする予定
採用している製品/サービス/技術「説明可能なAI技術」(日立製作所)、匿名化技術
稼働時期2022年1月(共同研究の開始時期)