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九州大学、感情推移や行動履歴から健康に関するアドバイスなどを提供する実証実験をNECと開始

DIGITAL X 編集部
2022年5月3日

九州大学は、感情推移や行動履歴などに基づくアドバイスやレコメンドを提供するヘルスケアサービスの実証実験をNECと共同で2022年2月9日に開始した。健康的な行動を促せるようにするのが目的だ。2022年1月28日に発表した。

 九州大学がNECと実験するのは、学生や教職員の感情推移や行動履歴などのデータに基づくアドバイスやレコメンデーションに対する受容性・有効性の検証。予防医療や健康増進など人々の健康寿命を延伸するためヘルスケアサービスの開発を目標に、九州大学伊都キャンパスで2022年2月9日から実施している。

 実験は、九州大学キャンパスライフ・健康支援センターが教職員向けに提供する生活指導プログラム「リフレッシュプログラム」を発展させる形で実施する。同センターの医師が、学生や教職員1人ひとりに合わせた健康に関するアドバイスや生活改善に向けたサポートを提供する(図1)。併せて、食事や運動、休息に関するレコメンド情報を提供し、健康的な行動を取るような行動変容へとつなげたい考えだ。

図1:九州大学がNECと実施する実証実験全体のイメージ

 医師からのアドバイスに向けて、日常生活データを実験協力者が持つウェアラブルデバイスやスマートフォンを通じて収集する。心拍変動データに基づく感情推移データや、食事・睡眠時間・活動内容といった行動履歴データである。

 レコメンドにおいては、カメラ映像を使った顔認証により実験協力者を特定し、本人に適したクーポンとQRコードをデジタルサイネージに表示する。協力者はQRコードをスマホで読み取れば、自身の感情推移や健康に関するデータやクーポンのイメージを閲覧できる(図2)。

図2:実証実験中のデジタルサイネージのイメージ(左)と表示画面の例

 感情推移データの計測には、感情を可視化する「NEC感情分析ソリューション」(NEC製)を、レコメンドには「サイネージ導入セット」(NEC製)を利用する。サイネージには、離れた場所にあるICT機器をジェスチャーで操作できる「NEC ジェスチャーUIソリューション」(NECソリューションイノベータ製)も利用している。

 九州大学によると、日本では現在、後期高齢者が増加することに伴い、社会保障費の急増や医療・介護にかかわる人材の不足が課題となっている。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大以降、「受診控え」によって外来間隔が長期化し、医療機関が人々の心身の健康状態を把握することが困難となっている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名九州大学
業種医療・健康
地域福岡市(九州大学伊都キャンパス)
課題後期高齢者が増加するなか、予防医療や健康増進など人々の健康寿命を延伸するための取り組みが求められている
解決の仕組み感情推移や行動履歴などの日常生活データから、1人ひとりに合わせた医師によるアドバイスや、食事や運動に関するレコメンド情報を提供し健康的な行動をうながす
推進母体/体制九州大学、NEC
活用しているデータ心拍変動データに基づく感情推移データや、食事・睡眠時間・活動内容といった行動履歴データ、実験協力者の顔データ
採用している製品/サービス/技術「NEC感情分析ソリューション」「サイネージ導入セット」(いずれもNEC製)、「NEC ジェスチャーUIソリューション」(NECソリューションイノベータ製)
稼働時期2022年2月9日(実証実験の開始時期)