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キリンビール、工場での転倒や熱中症をスマートウォッチで検知

DIGITAL X 編集部
2023年1月31日

キリンビールが工場で働く従業員の安全管理のために、スマートウォッチを使った見守りサービスを導入している。転倒や熱中症などの異常をスマートウォッチで取得するバイタル情報から検知し、管理者へ通知する。直近では北海道千歳工場で2022年10月から運用している。2022年9月30日に発表した。

 キリンビールが導入しているのは、現場で働く従業員を対象にした見守りサービス(図1)。スマートウォッチで取得するバイタル情報から、従業員の転倒や熱中症を検知する。従業員の安全および健康状態を見守り、労災事故を防止するのが目的だ。

図1:キリンビールの工場におけるスマートウォッチを装着した従業員の作業風景とスマートウォッチの画面例(右)

 見守り同サービスでは、スマートウォッチを着用した従業員の転倒・転落や体調の変化、熱中症の予兆や注意力の低下などをバイタルや活動量から検知し、管理者にアラートを通知する。管理者はPCやタブレット端末などから状況を閲覧する。

 北海道千歳工場では2022年10月に約20台のスマートウォッチを導入。神戸工場とおよびキリンディスティラリー富士御殿場蒸留所では、2022年6月から本格運用を始めている。今後は、横浜工場など他工場にも展開する計画だ。

 神戸工場と富士御殿場蒸留所では、導入に向けた実証実験を2021年7月から10月に実施した。それぞれに約100台のスマートウォッチを導入し、1工場当たり6人が業務時間内に着用した。

 結果、転倒通知や熱中症の予兆および体調変化などの検知、操作性について一定の有効性が認められたという。着用者からは、「管理者に通知されることで作業に対する安心度が増す」や「端末が軽く違和感なく利用できる」といった声があったとしている。

 見守りサービスにはユビテックが提供する「Work Mate」を採用した(図2)。スマートウォッチは「Apple Watch SEシリーズ」(米Apple製)または「TicWatch」(中Mobvoi製)を使い、スマートフォンの「iPhone」を経由してバイタルデータやアラートをGPS衛星経由で送受信する。

図2:見守りサービス「Work Mate」が提供する機能の概要

 キリングループは、健康経営の取り組みとして従業員の安全・衛生の確保を最優先とした職場環境の整備に取り組んでいる。省力化・自動化が進み従業員の数が減っている工場では、従業員の転倒といった異変を迅速に発見することが難しくなっている。猛暑日が増加したことで熱中症リスクも高まっている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名キリンビール
業種製造
地域北海道千歳市(千歳工場)、神戸市(神戸工場)、静岡県御殿場市(キリンディスティラリー富士御殿場蒸留所)
課題従業員の安全・衛生の確保を最優先とした職場環境の整備したい
解決の仕組みスマートウォッチを従業員に着用してもらい、バイタル情報から転倒や熱中症リスクなどを検知し、異常時は管理者に通知する
推進母体/体制キリンビール、ユビテック
活用しているデータ従業員のバイタルデータ、活動量データなど
採用している製品/サービス/技術見守りサービス「Work Mate」(ユビテック製)
稼働時期2022年10月(北海道千歳工場への導入時期)