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大成建設、墨出しにプロジェクションマッピングを使う仕組みの精度を向上

DIGITAL X 編集部
2023年12月12日

大成建設は、墨出しにプロジェクションマッピングを利用するための新型プロジェクターと新機能を開発した。図面との投映誤差を、おおむね2ミリメートル以内に抑えた。投映面積も従前の3.5倍以上に拡大し、墨出し作業の合理化・省力化を図る。2023年10月23日に発表した。

 大成建設の「T-iDigital MARKING」は、墨出しにプロジェクションマッピングを利用するためのシステム。建物の床面に図面を原寸大で投影し作業員が直接マーキングすることで、正確で迅速な墨出しを可能にする(写真1)。2021年にリコーと共同で開発したものに今回、新型プロジェクターと新機能を開発し追加した。投影誤差を、おおむね2ミリメートル以内に抑えることで、より高い精度が求められる建築での墨出しにT-iDigital MARKINGを利用できるようにした。

写真1:「T-iDigital MARKING」による墨出し作業の様子

 新開発したのは「4K超短焦点プロジェクター」。4K(3840×2160ピクセル)の解像度を持ち、従来の約3.5倍に当たる300インチ(約6.6×3.7メートル)で投影できる(写真2)。高画質な映像を広範囲に投影することで、墨出し作業の効率向上を期待する。

写真2:新開発した「4K超短焦点プロジェクター」の外観

 新機能としては、自動補正や自動位置合わせの機能を開発した。自動補正は、投影面を認識する撮影カメラや、投影するプロジェクターのレンズの歪みを補正する機能。床面の段差や設備工事による立ち上げ配管といった障害物がある場合の墨出しに対応する。

 位置合わせは、床面に設置した専用基準尺(ARマーカー)をカメラで読み取り投影位置を認識することで、投影画像の縮尺・回転角を調整し図面の位置を合わせる機能。プロジェクターを設置するたびに必要な準備作業を約5分に短縮した。準備作業は従来、手作業で対応していた。

 大成建設は既に、新システムを建設現場に導入し、墨出し作業の効率化と生産性向上に有効であることを実証済み。今後は建築・土木工事における墨出し作業全般に同システムを利用していく。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名大成建設
業種製造
地域東京都新宿区(本社)
課題墨だし作業にプロジェクションマッピング技術を使う「T-iDigital MARKING」の精度を高めることで、より高精度な墨出しを求められる現場でも利用できるようにしたい
解決の仕組み4K画像のプロジェクターを開発し、投影画像の品質を高め、かつ投影範囲を拡大する。合わせて、プロジェクター設置時の補正や位置合わせの自動化を図る
推進母体/体制大成建設、リコー
活用しているデータ設計図や施工図などに記載された基準線や設備機器の取り付け位置などの寸法情報
採用している製品/サービス/技術4K超短焦点プロジェクター(リコー製)
稼働時期——