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THK、客先設備の保全に向かう技術者をスキル情報を元に選出・派遣

DIGITAL X 編集部
2024年12月19日

機械要素部品メーカーのTHKは、国内7工場に技術者/技能者のスキルを管理するシステムを導入した。設備管理サービスと連携し、異常発生時に最適な技術者をスキル情報を元にアサインする。技術者1人ひとりが持つスキルを正確に把握し、人材配置の最適化に加え、技能継承や事業のグローバル展開にも利用する。システムを開発したSkillnoteが2024年12月2日に発表した。

 THKは産業機器や輸送機器のための機械要素部品のメーカー。このほど国内7工場に技術者/技能者のスキルを管理するシステムを導入した。従業員1人ひとりの力量を正確に測ることで、人材の戦略的な配置や、中長期的な技能継承策につなげるのが目的だ。事業のグローバル展開も視野に入れる。

 スキル管理システムでは、従業員一人ひとりが持つ業務に必要な知識や資格、経験といった情報を一元管理する。同システムは、自社開発した設備管理基盤の「OMNIedge(オムニエッジ)」が持つ部品予兆検知機能と連携し、顧客が運用する設備の異常を検知した際に、スキルデータを基に最適な保全担当者を推奨。OMNIedgeのメンテナンス総合管理システム上で派遣する技術者をアサインする(図1)。

図1:設備管理基盤「MNIedge」とスキル管理システムを連携し、設備アラート情報から最適なスキルを持つ技術者をアサインする

 人事系システムとも連携させる。人事異動時の流動性を高めたり、スキルや適性に応じて技術者の多能工化につなげたりする。人事系システムだけでは生産現場が求める尺度で技術者の力量を把握できず、各工場が独自のフォーマットや判定基準でスキルを可視化し、多能工化や技術伝承、人材交流なども個別に実施してきた。

 同社 生産技術統括部 安全衛生・環境・技術育成管理部 部長の岩本 無天 氏は、スキル管理システム導入の背景を、「当社製品の用途が、産業機械から医療機器、半導体、ロボットへと多様化している。カーボンニュートラルへの対応も求められ、環境変化に即応できる柔軟な生産体制を構築する必要がある。グローバルな規模で推進するに当たっては、その中核を担うのは現場で働く人材だ」と説明する。

 THKの生産部門では、団塊世代の退職が進み、若手への技術伝承が課題になっている。グローバル展開においては欧米・中国・アジアなどの海外拠点で活躍できる人材の育成が課題になっている。今後は、スキル管理システムの海外拠点への導入も検討している。

 スキル管理システムとしては「Skillnote」(Skillnote製)を採用した。選定理由として、製造現場のスキル管理に特化していること、時系列で技術やスキルの喪失リスクを可視化できること、国内外の拠点を横断してスキルを可視化し人員配置できることを挙げている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名THK
業種製造
地域東京都港区(本社)
課題製品の提供先が多様化するなかで、熟練者が退職し技能継承が課題になっている。事業のグローバル化に対応し海外拠点で活躍できる人材を増やしたい
解決の仕組み技術者/技能者のスキルを一元管理したうえで、設備の予兆検知サービスと連動し、最適なスキルを持つ技術者を派遣する。技能や適性に沿って人材を配置したり技能継承策に利用する
推進母体/体制THK、Skillnote
活用しているデータ従業員の知識、資格、経験などのスキル情報
採用している製品/サービス/技術スキル管理システム「Skillnote」(Skillnote製)、設備管理基盤「OMNIedge」(THK製)
稼働時期--