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東京メトロ、忘れ物の問い合わせと顧客対応業務に生成AIを利用
東京メトロ(東京地下鉄)は2024年11月28日から、忘れ物への問い合わせを24時間受け付けるためのAI(人工知能)チャットボットを運用している。一般的な問い合わせや対応窓口での回答案作成にも利用する。顧客向けサービスと顧客対応業務の両方に生成AIを活用するのは、鉄道会社では、これが初めてという。2024年11月28日に発表した。
東京メトロ(東京地下鉄)のカスタマーサービス(CS)窓口では、忘れ物に関する問い合わせを電子メールで年間9万件を受け付けている。このほどAI(人工知能)チャットボットを導入し、忘れ物の捜索依頼を受け付けられるようにした。営業時間外でも受け付け、回答を返すまでの時間を短縮し、CX(Customer eXperience:顧客体験)の向上につなげる。
AIチャットボットは、東京メトロのホームページにポップアップで表示する。問い合わせ者は、氏名や電話番号、紛失した日時、忘れ物の詳細などをガイダンスに沿って入力する。メンテナンス期間を除き常時受け付ける。東京メトロの担当者が捜索した結果を後日、メールで回答する。従来は、捜索に必要な情報を得るまでに複数回にわたり問い合わせ者と連絡を取るケースがあったという。
同じAIチャットボットを使って忘れ物以外の問い合わせも受け付ける。外部情報の検索結果を組み合わせるRAG(Retrieval Augmented Generation:検索拡張生成)技術を使い、ホームページに掲載している情報を含めた回答を生成AIで生成する。
生成AIは、ホームページに掲載する選択式のFAQ(よくある質問と答え)において利用者が「該当する質問がありません」を選択すると起動する。その際、生成AIが回答することや、回答に利用したリンク先へ誘導する文書を掲示し、元情報の確認を促すようにした。
CS担当者の回答業務にも利用する。電子メールによる問合せ内容を分析し、回答に必要な情報の提案や、回答案を生成AIで生成する。CS窓口では年間約25万件の電話と忘れ物を含む約10万件の電子メールを受け付けており、対応業務の自動化を期待する。
AIチャットボットは、米Allganize(オルガナイズ)のLLM(Large Language Models:大規模言語モデル)アプリケーション開発基盤「Alli LLM App Market」を使って構築した。Allganize日本法人と提携し2024年6月から導入検討を進めてきた。
企業/組織名 | 東京メトロ(東京地下鉄) |
業種 | 交通 |
地域 | 東京都台東区(本社) |
課題 | 忘れ物の問い合わせをはじめ、利用者からの問い合わせへの回答の短期化や業務の自動化を図りたい |
解決の仕組み | 生成AI技術を使ったチャットボットで忘れ物捜索に必要な情報を収集したり、問い合わせへの回答文あるいは候補を生成したりする |
推進母体/体制 | 東京メトロ、米Allganize 日本法人 |
活用しているデータ | チャットボットで収集する忘れ物捜索に必要な情報、メールや電話による問い合わせ内容など |
採用している製品/サービス/技術 | LLMアプリケーション開発基盤「Alli LLM App Market」(米Allganize製) |
稼働時期 | 2024年11月28日(運用開始時期) |