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YKK、自社開発する生産設備の設計データやBOMを一元管理
YKKは、製品品質を高めるために、自社開発している生産設備の設計データやBOM(Bill of Material:部品表)の一元管理を始めている。製品設備の設計が製品の品質を左右することから、設備の設計・運用効率を高める。一元管理のためのシステムを提供する図研が2024年12月11日に発表した。
ファスティング製品をグローバルに製造・販売するYKKは、製品の品質を高めるために、生産設備も自社で設計・開発している。近年は、市場での競争激化と製品の多様化に伴い、生産設備の開発案件も増え、設備の設計・製造にかかる業務の効率化が急務になっていた。
その対策として、新しいPDM(Product Data Management:製品データ管理)システムを導入し、設備の設計データとBOM(Bill of Material:部品表)の一元管理を開始した(図1)。電装設計における電気回路図など図面間の整合性を図る業務を軽減したり、生産終了した部品や各国の安全規制へ対応した部品を把握・採用を容易にしたりすることで、生産設備ひいては最終製品の品質向上を図る。
PDM導入に併せ、電気回路や制御システムなど電装関係の設計に3D(3次元)CAD(コンピューターによる設計)ソフトウェアも導入した。設計データの3D化により、制御装置のきょう体内部で部品の配置や配線を事前に確認し、設計の手戻りなどを削減する。設計データは海外の工場とも共有し、製造プロセスの改善をグローバルで実施する。
YKK 製造・技術本部 生産技術部 制御画像技術開発グループ長の松村 悟志 氏は新PDMシステムについて、「設計から製造までの一貫した品質向上を実現でき、グローバル展開の効率化に大きく貢献している。将来的には、スキルに依存せず容易に製造できる仕組みを確立し、設計から製造までのプロセスをシームレスにつなぎ、さらなる効率化と品質向上を実現したいと考えている。グローバル拠点で統一した設計・製造プロセスを実現し、YKKの競争力を高めていきたい」と話す。
PDMシステムと電装設計のための3D CADソフトウェアには「DS-E3 for E3.series」(図研製)と「E3.series」(同)を採用した。YKK 製造・技術本部 生産技術部 制御画像技術開発グループ 組立設備制御チーム 要素技術ライン長の松島 英征 氏は、「図研のアセスメントサービスでは、当社の業務フローとシステム概要を深く理解したうえで全体最適の視点から課題と解決の方向性を考え、最適な導入方法を検討してくれた。その過程でE3.seriesの特長を最大限に生かすには、DS-E3が必要だと気づき導入を決めた」という。
企業/組織名 | YKK |
業種 | 製造 |
地域 | 東京都千代田区(本社) |
課題 | 製品品質を確保するために生産設備も自社開発しているが、グローバルでの市場競争の高まりと製品の多様化により生産設備の開発案件も増加しており、設計業務の効率を高める必要がある |
解決の仕組み | 生産設備の設計データとBOMを一元管理し、使用する部品の選定効率を高める。電装周りの設計に3D CADを導入し部品の配置や配線を事前に確認し手戻りを防ぐ |
推進母体/体制 | YKK、図研 |
活用しているデータ | 製品の設計データ、部品表など |
採用している製品/サービス/技術 | PDMシステム「DS-E3 for E3.series」(図研製)、電装設計用3D 元CADソフトウェア「E3.series」(同) |
稼働時期 | -- |