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茨城県日立市、住民の健康行動にPHRを元に個別アドバイスする実証実験を開始

ANDG CO., LTD.
2025年6月27日

茨城県日立市は、住民の健康維持・増進にPHR(Personal Health Record:個人の健康データ)を活用する実証実験を開始した。PHRを元に個別にアドバイスし生活習慣改善や健康行動を促す。健康寿命の延伸と医療体制の持続可能性を高めるのが目標だ。共創プロジェクト「市民共創スマートシティ」構想の一環。実証実験を支援する日立製作所が2025年6月17日に発表した。

 茨城県日立市が実証するのは、住民の健康維持・増進に向けたPHR(Personal Health Record:個人の健康データ)の活用効果。データに基づき住民1人ひとりの健康リスクを把握し、科学的根拠に基づく個別アドバイスによって、生活習慣の改善や予防行動を促す。疾病の早期予防や健康寿命の延伸につなげるとともに、持続可能な医療体制の構築が目的だ。

 実験では(1)市内保険者のPHRの集約・分析と(2)スマートフォン用アプリケーションを使った健康支援の2つ。PHRの集約・分析では、市内の40〜79歳の被保険者約6万6000人を対象に、健診結果や医療費明細(レセプト)を統計処理し、匿名化した健康指標を作成・分析する。

 スマホアプリの使用では、茨城県が提供する健康支援用スマホアプリ「元気アっプ!リ」と連携し、歩数や血圧など検診データの提供に同意を得られた個人を対象に、疾病発症リスクをAI(人工知能)技術で予測。それに基づいて健康アドバイスをフィードバックする。

 日立市は2031年度までの実現を目指す“日立市の姿”として、健康・医療・介護領域の社会課題をデジタルの力で解決するグランドデザイン「住めば健康になるまち」を策定した。その一環から日立製作所との共創プロジェクト「市民共創スマートシティ」構想に取り組んでいる。

 同構想では、未来像を実現するために(1)健康データの集約・活用、(2)地域医療のデジタル化、(3)地域包括ケアシステムの構築の3つをテーマに取り組んでおり、今回のPHR活用は、健康データの集約・活用に該当する。日立製作所はAI技術による分析のためのシステムやアプリ連携の開発を支援している。

 地域医療のデジタル化では、小児向けの夜間・休日オンライン診療と、子育て世帯向けの24時間365日オンライン医療相談サービスを2025年4月に開始。地域包括ケアでは、要介護者の生活状況を共有し、多職種情報連携の推進と医療・介護職種の業務効率化を目指すモデル事業を2024年9月に開始している。

 今後も、市民や地域の医療・介護を支えるステークホルダーと対話しながら、これらの取り組みを段階的に計画・実行していく。2025年度は、対象者や事業所を拡大し、病院の地域連携室とも連携し、入院から転院、退院までに切れ目のない医療・介護サービスの提供を検証する計画だ。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名茨城県日立市
業種公共
地域茨城県日立市
課題市民の健康寿命を延ばし、医療・介護の質を維持しながら持続可能な地域医療体制を構築したい
解決の仕組みPHR(個人の健康データ)を基に、住民の健康リスクを把握し、科学的根拠に基づく個別アドバイスを提供することで生活習慣改善や健康行動などの変容につなげる
推進母体/体制日立市、日立製作所
活用しているデータPHR(健診結果やレセプト、被保険者の歩数や血圧など)
採用している製品/サービス/技術健康管理アプリケーション「元気アっプ!リ」(茨城県製)
稼働時期2025年6月(グランドデザインの策定時期)