• UseCase
  • 製造

IHIインフラシステム、電力使用量を用途別に分析するAI利用のEMSを堺工場で実証

DIGITAL X 編集部
2025年9月30日

インフラ設計・施工を手掛けるIHIインフラシステムは堺工場(大阪府堺市)で、クラウド型EMS(Energy Management System)の実証実験を2025年7月から始めている。電流波形センサーで取得した電力使用量をAI(人工知能)技術を使って用途別に分析することで、省エネと生産性向上の両立を図る。センサーを提供するエネゲートと分析のためのAI技術を開発するEnergyColoringとともに2025年9月1日に発表した。

 インフラ設計・施工を手掛けるIHIインフラシステムが堺工場(大阪府堺市)で実証するのは、電力使用量を可視化するためのクラウド型EMS(Energy Management System)。CO2(二酸化炭素)削減による省エネと、工場の生産性向上を両立させるのが目的だ。2025年7月から2026年3月まで実施する。

 実証では、高圧受電設備(キュービクル)には電圧センサーを設置せずに設備の有効電力と力率を推定する「ディスアグリゲーション」技術を検証する(図1)。高圧受電回路には電流波形IoT(Internet of Things:モノのインターネット)センサーを取り付け、電流の波形を1分刻みで計測する。電気工事なしに約30分で取り付けられるため、導入コストと工場のダウンタイムの抑制を期待する。

図1:IHIインフラシステムが堺工場で実施するクラウド型EMSの実証実験の概要

 電流波形センサーで取得したデータを、電力利用機器の別にAI技術により分析し、それそれの使用量などをダッシュボードに表示する。ダッシュボードの内容は管理者に1分間隔でメール通知する。

 用途別に仕分けたデータは、省エネ診断士の提案を模したLLM(Large Language Models:大規模言語モデル)を使ってレポートを生成する。LLMは過去5万件を超える省エネ診断の知見を学習しており、具体的な改善策を提示できるとする。

 電流波形センサーはエネゲートが提供する。EMSにおける電力使用量を分析するためのAI技術はEnergyColoring(エナジーカラリング)が開発した。

 IHIインフラシステムらによると、製造業の現場では老朽化した設備を生かしながらエネルギー使用量の最適化と生産性向上を両立させる「レトロフィット」への需要が高まっている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名IHIインフラシステム
業種製造
地域大阪府堺市(堺工場)
課題老朽化した設備を生かしつつ、工場のエネルギー効率を高めながら、生産性も高めるレトロフィットに取り組みたい
解決の仕組み電流波形センターで測定したデータをAI技術で分析し利用機器別に有効電力と力率を推定し、用途別の使用量を可視化する
推進母体/体制IHIインフラシステム、エネゲート、EnergyColoring
活用しているデータ高圧受電キュービクルの電力波形データ
採用している製品/サービス/技術電流波形センサー(エネゲート製)、電力使用量分析のためのAI技術(EnergyColoring製)
稼働時期2025年7月~2026年3月(堺工場での実証実験期間)