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広島銀行、融資の稟議書を作成する生成AIシステムを内製し利用を開始
広島銀行は融資のための稟議書を作成する生成AI(人工知能)システムを内製開発し、2025年9月29日から全営業店で利用を始めている。個人顧客を対象にした面談準備のためのシステムも開発しPoC(Proof of Concept:概念実証)を実施した。業務効率を高め、行員が顧客ニーズに沿った提案ができるようにするのが目的だ。ひろぎんホールディングスが同日に発表した。
広島銀行が2025年9月29日から全営業店で利用を始めたのは、融資業務における稟議書を作成するための生成AI(人工知能)システム。顧客企業の財務情報や営業店の行員が記録してきた折衝記録を基に、稟議書に記載する申し込みの経緯や資金の使途などのドラフトを生成する。内製で開発し、システム検証の結果では年間5200時間の業務削減効果が見込めるとしている。
稟議書の作成には高いスキルが求められ、特に若手行員が多くの時間を要してきた。生成AIシステムでドラフトを作成することで、若手行員が文書構成や表現方法を学び、実務を通じたスキルの獲得も期待する。
稟議書作成システムに続き、個人顧客との面談を準備する生成AIシステムのPoC(Proof of Concept:概念実証)も実施した。複数の業務システムに分散している顧客情報を生成AI技術で集約し、提案内容や会話のアイデアを整理する仕組みである。
PoCでは、面談の準備時間を従来比で7割削減できる見通しを得られた。この結果を踏まえ、内製によるシステム開発を始めており、2026年2月に本部の営業担当者が活用を始める計画である。
これらの生成AIシステムを使って業務効率を高め、行員が顧客の課題やニーズに向き合える時間を創り出し、顧客への提案内容の質を高めたい考えだ。
広島銀行の親会社であるひろぎんホールディングスでは、生成AIシステムの業務利用について3段階の活用ロードマップを定め推進している。第1段階のステージ1では、「Microsoft Azure」(米Microsoft製)を使った自社専用のクラウド環境上にグループ専用のAIアシスタントを構築し、2024年4月に利用を開始した。
現在はステージ2にあるとし、行員が特別な操作を意識することなく、業務アプリケーションを利用すれば生成AIシステムの支援を受けられる「無意識利用型の業務フロー」(ひろぎんHD)の実現を目指している(図1)。稟議書作成や面談準備は、ステージ2の取り組みになる。
次のステージ3では、AIエージェントによる自律的な業務支援機能を取り入れ、業務の効率化と価値創造効果の最大化を図るとともに、顧客サービス提供の柔軟性と品質向上を目指す。加えて非金融分野を含めた総合力の高いサービスの提供にグループ全体で取り組んでいくいくとしている。
企業/組織名 | 広島銀行 |
業種 | 金融・保険 |
地域 | 広島市(本店) |
課題 | 営業店での業務効率を高め、業務スキルの獲得や顧客への提案内容の品質を高めたい |
解決の仕組み | 融資業務における稟議書作成や個人顧客との面談を準備するための生成AIシステムを内製開発し、業務効率を高めたり提案内容や会話のアイデアを整理したりする |
推進母体/体制 | ひろぎんホールディングス、広島銀行 |
活用しているデータ | 顧客の財務情報、営業店行員による折衝記録、行内に業務システムに分散している顧客データなど |
採用している製品/サービス/技術 | クラウド環境「Microsoft Azure(米Microsoft製) |
稼働時期 | 2025年9月29日(稟議書作成用生成AIシステムの全営業店での利用開始時期) |