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出光興産、機械用潤滑油の劣化をスマホ画像から診断するサービスを開始

DIGITAL X 編集部
2025年10月28日

出光興産は、機械用潤滑油の劣化や汚染状態を診断するサービスを2025年10月15日に開始した。スマートフォンで撮影した画像から、数分内に潤滑油の劣化状態を数値化して表示する。設備の稼働率を保ちながら保守作業や廃油処理のためのコストを削減できるとする。同日に発表した。

 出光興産の「Idemitsu Smart OC」は、機械用潤滑油の劣化や汚染の状態を診断するサービス(図1)。潤滑油の推定寿命を算出することで過剰なオイル交換を防ぎ、設備の稼働率を保ちながら部品の交換や廃油の処理コストを削減できるとする。2025年10月15日に提供を開始した。

 Idemitsu Smart OCでは、潤滑油を撮影するためにスマートフォン用の専用モジュールを用意する(写真1)。これにより分析機関へのサンプル提出や、分析装置を用いた検査の回数を削減できるとする。モジュール内部ではLEDライトを潤滑油に照射して診断精度を確保しており、天候や照明などの撮影環境に左右されることなく診断ができる。

写真1:出光興産の潤滑油診断システム「Idemitsu Smart OC」のスマートフォン用アプリケーションと分析用の専用モジュール

 診断時には、サンプルになる潤滑油2ccを専用モジュールに入れ、スマートフォンで画像を撮影する。同画像を解析し、劣化や汚れの度合いを数分以内に算定する。

 診断結果はスマホアプリで表示し、潤滑油の交換を推奨したり、過去のデータと共に劣化の詳細をグラフで表示したりができる(図1)。現場担当者は潤滑油の状態を定量的に把握し交換時期を判断する。経験の浅い作業者でも潤滑油の推定寿命を算出できるとしている。

図1:「Idemitsu Smart OC」のスマホ用アプリの画面例

 出光興産によれば、潤滑油は、製造設備や工作機械などの摩擦・摩耗の防止や防錆(ぼうせい)を目的に利用されており、機械が性能を発揮し安定稼働を続けるためには油質の管理が欠かせない。だが、その劣化状態は熟練作業者が目視や臭い、粘度の変化などを経験に基づき判断することが多く、高齢化と人材不足が進む中での属人化が課題になっている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名出光興産
業種製造
地域東京都千代田区(本社)
課題機械用潤滑油の劣化診断は熟練作業者の経験に頼ることが多く属人化が進んでおり、顧客の設備稼働率を維持できるよう劣化診断を支援したい
解決の仕組み潤滑油のサンプルを専用モジュールをつないだスマートフォンで撮影し、その画像から劣化状態を数値化するサービスを提供する
推進母体/体制出光興産
活用しているデータスマートフォンで撮影した潤滑油の画像
採用している製品/サービス/技術分析専用の撮影モジュール
稼働時期2025年10月15日(サービス提供開始日)