• UseCase
  • 製造

トーエイ、再生プラスチックの活用拡大に向けた品質分析と配合比率提案の実証実験を日立と実施

DIGITAL X 編集部
2025年11月20日

廃棄物事業を手掛けるトーエイは、再生プラスティックの利用拡大に向けて、再生材の品質分析と、求められる物性を満たすのに必要な再生材などの配合比率の提案に関する実証実験を、日立製作所と日立ハイテクと共同で実施する。AI(人工知能)によるMI(マテリアルズインフォマティクス)技術を利用する。2025年11月6日に発表した。

 廃棄物の収集・リサイクルを手掛けるトーエイが、日立製作所と日立ハイテクと共同で実施するのは、再生プラスチックの販売時に必要になる再生材の品質分析機能と、顧客が求める物性を満たせる再生材とバージン材と添加剤の配合比率(配合レシピ)を提案する機能の実証実験(図1)。トーエイが家電から回収したポリプロピレン(PP)材料の品質を数値化したうえで、配合レシピによって新規材料を製造し、両機能の有効性を評価・確認する。トーエイは廃棄物リサイクルに関するナレッジを提供する。

図1:顧客が求める物性から再生材とバージン材と添加剤の配合比率(配合レシピ)を提案する機能のイメージ

 PP材料の品質評価では、トーエイが回収・再資源化したPP材料の品質を日立ハイテクが解析し、量産段階で不良になりやすい成形品質や物性のばらつきを確認する。品質レベルを数値化した結果から、一般の汎用製品に適応可能なレベルの物性および成形品質かどうかを評価する。

 配合レシピの提案では、日立が開発したMI(マテリアルズインフォマティクス)技術を使い最適な配合レシピを算出する。日立が持つ再生プラスチックの配合に関する実験データベースを参照するため、再生プラスチックに関する十分なデータを持たない顧客でも、目的とする材料性能に応じたレシピを探索・提案できるとしている。

 両機能は日立が開発し、2026年度にサービス提供を予定する「再生材マーケットプレイス」の機能として提供する。今回の実証実験で得た再生プラスチックのデータも登録する予定である。

 トーエイらによれば、再生プラスチックはバージン材に比べて機械特性・熱物性の低下や品質にばらつきがあり、製品への活用が限定的になっている。また再生プラスチックはエンジニアの試行錯誤によって開発されており、開発作業の効率化が求められている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名トーエイ
業種製造
地域愛知県知多郡(本社)
課題再生プラスチックはバージン材に比べて機械特性・熱物性の低下や品質にばらつきがあり、製品への活用は限定的であるうえ、エンジニアの試行錯誤を通じて開発されるため作業の効率化が求められている
解決の仕組み再生プラスチックを採用しやすいように再生材の品質分析機能と、求める物性を満たす再生材・バージン材・添加剤の配合比率を提案する機能をマーケットプレイスで提供する
推進母体/体制トーエイ、日立製作所、日立ハイテク
活用しているデータトーエイが回収・再資源化したPP材料の情報、生プラスチックの配合に関する実験データベースなど
採用している製品/サービス/技術AI、マテリアルズ・インフォマティクス技術(日立製作所製)、品質解析技術(日立ハイテク製)
稼働時期2025年11月(実証実験の開始時期)