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食品スーパーのハローデイ、需要予測に基づき発注数を算出するAIシステムを全店で稼働

ANDG CO., LTD.
2025年12月25日

食品スーパーのハローデイは、販売実績データから需要を予測し発注数を提示するAI(人工知能)システムを全49店舗で2025年6月から運用している。属人化していた発注業務をデータに基づく形に変えることで、誰もが一定の品質以上で発注できるようにするのが目的だ。発注システムを提供する日立製作所が2025年12月10日に発表した。

 ハローデイは、福岡県を中心に熊本県や山口県で食品スーパーマーケット49店舗を展開している(写真1)。「アミューズメントフードホール」というコンセプトを掲げ、各店舗が独自の売り場レイアウトや商品配置、陳列方法を採用している。

写真1:福岡県を中心に熊本県や山口県で食品スーパーマーケット49店舗を展開するハローデイの店舗外観の例

 そうした店舗の全店において、販売実績データに基づいて需要を予測し自動発注するAI(人工知能)システムを2025年6月から稼働させている。経験や勘に頼らない発注方法に切り替えることで、人手不足が進む中でも誰もが一定品質以上で発注できるようにし、店舗運営の持続可能性を高めるのが目的だ。

 自動発注システムは、店舗ごとの販売実績に、天候や曜日、地域イベントなどの外部要因、および取引先ごとに異なる発注ロットや納品条件を加味して需要を予測する(図1)。対象商品は、牛乳や豆腐などの日配品と、加工食品や菓子、冷凍食品、日用品などのグロサリー商品で1店舗当たり平均7000種になる。

図1:自動発注システムの全体像と業務の流れ

 現場の担当者は、予測値を元に最終的な発注数を決める。発注作業を完全に自動化せずに、判断の起点をAIシステムで算出するようにした。アミューズメントフードホールのコンセプトに沿って店舗ごとに異なる売り場条件への対応を重視したためだ。

 これまでに、全49店舗において従業員1カ月当たりの総労働時間は前年比で6837時間減少し、残業時間は7.9%減った。労働時間当たりの粗利益を示す人時生産性は8.4%向上したとする。

 需要予測の精度を高めるために、全店舗の販売実績データを蓄積するほか、需要予測の結果を次回の予測に反映させている。予測値と実績の差異を検証しチューニングする。継続的なチューニングの結果、システムが提示した発注数の90%は、担当者が修正することなく、そのまま実際の発注数として利用できている。

 結果、発注業務の標準化が進み、特定の担当者に依存しない運用が可能になったほか、欠品を恐れて多めに発注する過剰発注の抑制にもつながっているという。

 今後は、グループのスーパーマーケット「ボンラパス」の6店舗にも同様の仕組みを導入する予定である。合わせて、発注業務で蓄積したデータを使って店舗業務に対するQ&Aをチャットボットで応えられるようにするなど、業務ノウハウの可視化とスキルの平準化にも取り組む。

 システムの導入検討は2023年に開始し、2024年1月から5店舗に試験導入し、検証と改善を続けていた。自動発注システムには日立製作所が提供する「Hitachi Digital Solution for Retail」を採用し、導入では日立ソリューションズ西日本の支援を受けた。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名ハローデイ
業種流通・小売り
地域北九州市
課題「アミューズメントフードホール」というコンセプトを掲げ各店舗が独自の売り場レイアウトや商品配置、陳列方法を採用しているため、各店舗の発注業務の属人化が進みがちだった
解決の仕組み販売実績データに基づく需要予測値から発注数を算出するAIシステムを導入し発注業務の標準化を図ることで、店舗の裁量を維持しながら誰もが適切に発注できるようにし、店舗運営の持続可能性を高める
推進母体/体制ハローデイ、日立製作所、日立ソリューションズ西日本
活用しているデータ店舗別・商品別の販売実績データ、曜日・天候などの外部要因データ、取引先ごとに異なる発注ロットや納品条件
採用している製品/サービス/技術AI需要予測型自動発注システム「Hitachi Digital Solution for Retail」(日立製作所製)
稼働時期2025年6月(全49店舗での運用開始時期)