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デンソー、エンジニアの暗黙知を蓄積するナレッジマネジメント基盤を開発へ
デンソーは、エンジニアの暗黙知を蓄積し共有するためのナレッジマネジメント基盤の開発を進めている。文書や音声に含まれる暗黙知をAI(人工知能)技術で抽出し、組織全体で検索可能にすることで設計力・開発力を高めるのが目的だ。開発を支援する富士ソフトが2025年11月28日に発表した。
デンソーが開発しているのは、エンジニアの暗黙知をデジタルデータとして蓄積・共有するためのナレッジマネジメント基盤(図1)。経験や判断の勘所を組織全体で活用できる知識として蓄積・整理し、設計力・開発力を高めるのが目的だ。
35の国と地域で事業を展開するなか、海外拠点では日本以上に人材の流動性が高く、限られた在籍期間の中で、エンジニアが持つ知識やノウハウをいかに組織に残すかが課題になってきたほか、熟練者の退職や異動によって知見が失われるリスクも顕在化していた。
開発中のナレッジマネジメント基盤では、エンジニアが蓄積してきた技術情報や検討経緯、判断理由などを登録・管理できるようにする。開発資料や議事録、音声などに含まれる言語化が難しい暗黙知をAI(人工知能)技術を使ってデータ化する。
そのうえで数値配列を利用したベクトルデータベースに格納し検索や参照を可能にする。エンジニアは、RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)技術により必要な情報を自ら検索し業務に利用する。
開発プロジェクトは、富士ソフトを開発パートナーに2025年4月に開始した。現在は、構築中の基盤が、どのような処理や分析に対応できるのかの能力を検証している段階にある。
今後は、数年を掛けてプレビュー版を運用しながら、形式知とする定義の基準やデータの蓄積方法、AI技術の学習精度を高めていく。その成果を踏まえて正式版に切り替える。並行して、ナレッジマネジメント基盤を現場に浸透させる方法や、運用のあり方についても検討する。
| 企業/組織名 | デンソー |
| 業種 | 製造 |
| 地域 | 愛知県刈谷市(本社) |
| 課題 | グローバル展開に伴い、海外拠点では人材の流動性が高く彼らのノウハウを短期間に組織に残す必要が高まっている。遭わせてエンジニアの退職や移動による知見の流出が顕在化している |
| 解決の仕組み | ナレッジマネジメント基盤を構築し、開発資料や議事録、音声などに含まれるエンジニアの暗黙知をAI技術で抽出・整理し、組織全体で検索・活用できるようにする |
| 推進母体/体制 | デンソー、富士ソフト |
| 活用しているデータ | エンジニアが蓄積してきた技術情報、過去の検討経緯、判断理由、開発資料、議事録、音声データなど |
| 採用している製品/サービス/技術 | ベクトルデータベース |
| 稼働時期 | 2025年4月(基盤構築プロジェクトの開始時期) |
