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阪急阪神HD、重症心不全患者の在宅ケア支援サービスを日立・阪大と検討
阪急阪神ホールディングスは、重症心不全患者の在宅ケアを支援するサービスの検討を、日立製作所と大阪大学大学院医学系研究科 心臓血管外科学講座とで開始した。2025年度の活動として、そのための実証実験を実施した。PHR(Personal Health Record:個人健康情報記録)などのデータを医療・介護の多職種で共有し病院中心から生活中心のケアへの転換を目指す。2026年1月26日に発表した。
阪急阪神ホールディングスが、日立製作所と大阪大学大学院医学系研究科 心臓血管外科学講座と共同で検討するのは、重症心不全患者を対象にした在宅ケア支援サービスの実用化。PHR(Personal Health Record:個人健康情報記録)などのデータを医師や看護師、薬剤師、管理栄養士などが共有しながら患者の状態を継続して把握することで、通院や入院を前提とした医療から生活の中で支援できるモデルへの転換を模索する(図1)。
検討の一環として2025年度の活動となる実証実験を2025年11月~2026年1月の3カ月間実施した。心不全の中で最も重症度が高い「ステージD」の患者を対象に、在宅での自己管理と医療・介護従事者が連携することで、患者や介護者のQOL(Quality of Life:生活の質)の質や、多職種側の業務効率などを検証した。加えて、どのPHRデータを、どの頻度で共有するのが有効かについても整理した。
実験では、大阪大学医学部附属病院に通う心不全ステージDの患者が、PHRアプリケーションを使って、血圧や体重などのバイタルデータ、食事や運動内容などの記録を日常的に入力した。自己管理を継続できるよう、管理栄養士が監修した心不全患者向け食事レシピや、セルフケア動画を提供した。
PHRアプリには「いきいき羅針盤」(阪急阪神HD製)上で動作する自己管理アプリ「LVAD 自己管理記録ノート」(同)を利用した。患者のデータをPHR基盤上に集約し多職種間で共有する仕組みは日立が開発した。食事レシピは健康関連スタートアップの、おいしい健康が協力し、セルフケア動画は大阪大学医学部附属病院心臓血管外科が監修した。ビジネスモデルのための意見収集にはインテディックスが関与した。
サービスの事業性の検討にも着手した。患者側と医療・介護従事者側の双方から対価を得る仕組みを検証し、地域医療を担う多職種から意見を集めながら、実装を見据えたビジネスモデルの具体化に取り組む。まずはステージDの患者向けにモデルを構築し、その後、患者数が多いステージC/Bへの適用を目指す。
阪急阪神HDと日立は、経済産業省が進めるPHR分野の実証事業に参画し、ヘルスケア分野における新たなサービスの開発に取り組んできた。大阪大学大学院医学系研究科心臓血管外科学講座は、重症の心不全患者を対象とする在宅左室補助人工心臓(LVAD:Left Ventricular Assist Device)治療システムの臨床研究を進めている。
3者は2026年度以降、医療機関や対象患者を拡大し、医療・介護費の削減効果や患者・介護者の就労継続による経済効果などを含めたエビデンスの蓄積を進める。エビデンスを元にAI(人工知能)技術を活用した診療支援サービスに発展させ、持続可能な医療モデルの実現とヘルスケアエコシステムの構築を目指す。
阪急阪神HDらによれば、高齢化の進展により、医療・介護費は2018年度に約50兆円に達し、2040年度には約94兆円に拡大する見通しだ。一方で、医療機関や医療・介護従事者の不足や地域格差が深刻化しており、重症患者を病院中心で支える従来モデルの持続性が限界に近づいている。
| 企業/組織名 | 阪急阪神ホールディングス |
| 業種 | 医療・健康 |
| 地域 | 大阪市(本社) |
| 課題 | 重症心不全患者を通院・入院中心で支え続ける従来の医療モデルでは、患者・介護者の負担増加と医療提供体制の持続性低下が避けられない |
| 解決の仕組み | PHR(個人の健康データ)アプリケーションを利用して患者の日常状態を可視化し、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士などの多職種が同じ情報を共有する仕組みを構築し、在宅を軸としたケアのモデルを確立する |
| 推進母体/体制 | 阪急阪神ホールディングス、日立製作所、大阪大学大学院医学系研究科 心臓血管外科、おいしい健康、インテディックス |
| 活用しているデータ | 患者の血圧、体重、体調に関する問診回答などのPHRデータ |
| 採用している製品/サービス/技術 | PHRアプリ「いきいき羅針盤」(阪急阪神HD製)、心不全患者向け自己管理アプリ「LVAD 自己管理記録ノート」(同)、食事レシピ(おいしい健康製)、セルフケア動画(大阪大学医学部附属病院心臓血管外科監修) |
| 稼働時期 | 2025年11月~2026年1月(実証実験の実施時期) |
