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スーパーのロッキー、食品ロス削減に向け需要や適正価格を予測するAIシステムを実証実験

DIGITAL X 編集部
2026年2月12日

スーパーマーケットのロッキーは精肉部門における食品ロス削減を目的に、需要と最適価格を予測するAI(人工知能)システムの実証実験を実施した。需要予測結果は製造・加工プロセスとも共有した。AIシステムを提供したシノプスが2026年2月4日に発表した。

 ロッキーは、熊本でスーパーマーケット「ロッキースーパーストア」を28店舗展開する小売り業。このほど、精肉部門を対象に需要予測や適正な販売価格を決めるAI(人工知能)システムの実証実験を実施した。食品ロスの削減につなげ、利益率を高めるのが目的だ。

 実験は(1)需要予測による仕入れ調整と(2)POS(販売時点情報)データに基づくダイナミックプライシングの2つを実施した。実験期間は、前者が2024年6月1日~2025年5月31日、後者は2025年8月25日~2025年9月21日である。

 仕入れ調整では、全28店舗を対象に精肉の需要を予測し、その結果を見込み発注数として製造・加工を担う「プロセスセンター(PC)」の運営会社のアールミートと共有。そのうえでPOSデータを加味した重要予測に基づき正式発注した(図1)。原材料の発注量や加工計画を製造段階から調整することで、PC側の廃棄金額を3%削減、店舗のロス率は1.56ポイント改善したという。合算では年間約4400万円の削減が見込めるとみる。

図1:需要予測結果を「プロセスセンター(PC)」と共有することで、製造段階から仕入れ量の最適化を図る

 一方のダイナミックプライシングでは、ロット別の生産情報とPOS(Point of Sale:販売時点情報管理)情報から在庫を把握し、消費期限が近い商品の値引き率を自動で設定した(図2)。顧客には掲示やPOPで周知したほか、売り場にタブレットを設置してバーコードを読み取れば割引価格が確認できるようにした。

図2:店頭に並んだ後の商品を売り切るためにダイナミックプライシングを設定する実証実験の概要

 実験の結果、食品ロス率が1.3ポイント改善するとともに、店舗での値引き作業にかかる工数を83.3%削減できたという。全28店舗を対象にすれば年間9900万円の削減を試算する。

 今後は、精肉部門に需要予測システムを本格導入するとともに、アールミートとの恒常的な情報共有を検討する。アールミート側では、製品単位ではなく原料単位で仕入れ量を予測する運用への移行も視野に入れる。

 今回の実証実験は、農林水産省の「令和6年度食品ロス削減緊急対策モデル支援事業」に採択された取り組み。需要予測には、需要予測サービス「sinops-R」(シノプス製)を採用し、精肉部門向けのロジックを追加した。sinops-Rを使った自動発注は2021年から、日配食品や惣菜・パンなどを対象に利用している。

 ダイナミックプライシングの実験では、POSシステムとデータ連携にソリマチ技研が、生産指示システムおよびラベル印刷に西日本イシダが、それぞれ参加した。

 シノプスによれば、日本国内の食品ロスは年間約464万トンに上る。うち約231万トンは事業系から排出されており、店舗での値引きや廃棄対策だけでは限界がある。PC側も各店舗の経験と勘に基づく見込み発注数から原材料の仕入れや製造計画を決めており、製造・加工プロセスを含めた対策が求められている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名ロッキー
業種流通・小売り
地域熊本県上益城郡益城町(本社)
課題スーパーの精肉部門では、店舗での値引きや廃棄といった販売段階の対策だけでは食品ロス削減に限界がある
解決の仕組み需要予測結果を精肉の加工・製造を担う事業者と共有し、原材料の仕入れ量や加工・製造計画を需要起点で調整する。店舗側では、消費期限情報とPOSデータから値引率を自動で設定し製造した商品を売り切る
推進母体/体制ロッキー、アールミート、シノプス、ソリマチ技研、西日本イシダ
活用しているデータ販売実績データ、商品別・店舗別の販売数量データ、ロット別生産情報
採用している製品/サービス/技術需要予測サービス「sinops-R」(シノプス製)
稼働時期2024年6月1日~2025年5月31日(仕入れ調整の実証実験の実施時期)、2025年8月25日~2025年9月21日(ダイナミックプライシングの実証実験の実施時期)