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タダノインフラ、クレーンの運転支援機能の3Dシミュレーターをゲームエンジン使い開発

DIGITAL X 編集部
2026年2月19日

タダノグループで運搬機械を開発するタダノインフラソリューションズ(IHI運搬機械の旧運搬システム事業)は、クレーンの運転支援機能を実機を使わずに開発するためのシミュレーターを開発した。ゲームエンジンを使用し、クレーンの動作環境と動作状況を仮想空間に統合し仕様検討から開発初期の検証に利用する。開発期間の短縮が狙い。2026年2月6日に発表した。

 タダノグループで運搬機械を開発するタダノインフラソリューションズ(IHI運搬機械の旧運搬システム事業)が開発したのは、クレーンの運転支援機能の3D(3次元)シミュレーター(図1)。実機を使わずに運転支援機能の動きを再現し、仕様検討と初期開発の期間を短縮するのが目的だ。

図1:タダノインフラソリューションズが開発した雲煙支援機能シミュレーターの画面例

 開発したシミュレーターの概念を同社は「仮想環境一体型センシングおよび制御シミュレーター(VECS:Virtual Environment Based machine Control simulator with virtual Sensors)」と呼んでいる。クレーンの位置や速度などの状態挙動を3D空間に再現し、障害物検知や安全制御のための機能開発に利用する。3次元LiDAR(Light Detection And Ranging:光による検知と測距)を使った検証には、実機の準備や計測環境の設営、関係者の日程調整など多数の工程を要していた。

 シミュレーションしているのは、3次元LiDARセンサーによって取得するクレーン稼働時の周辺環境と、クレーンを制御した際の挙動。そのために、実機仕様に基づく3次元LiDARセンサーの照射特性や検知レンジなどを示すモデルと、クレーンおよび周辺構造物の物理モデルとを用いている。

 センサーのモデルを使って、構造物に対して照射したレーザーの交点を計算し、その座標群からクレーンと構造物の位置関係などを示す点群データを生成する(図2)。点群データをクレーンの制御ロジックに入力することで、クレーンの挙動を再現する。

図2:シミュレーターによって生成した点群データの解析画面の例

 シミュレーターは、オープンソースのゲームエンジン「Godot(ゴドー)」を使って開発した。産業用途に合わせたレンダリングや物理演算、センサーモデルを実装するための機能をカスタマイズして利用している。

 開発プロジェクトは、タダノインフラソリューションズが主導し、産業向けソフトウェア開発のイーソル(eSOL)と、XR(Extended Reality:拡張現実)システムを手掛けるフレームシンセシスが協力した。3社は国内でのGodotの活用促進に関する基本合意を結んでおり、今回のプロジェクトはその一環だ。

 今後は、実環境で取得した3次元LiDARの計測データと、仮想空間で生成した点群データを比較し、両者の整合性を検証する。実機挙動とのかい離を縮小し、より現実に即したシミュレーション技術へと高度化を図りたい考えだ。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名タダノインフラソリューションズ
業種製造
地域香川県高松市(本社)
課題クレーンの運転支援機能の仕様検討から初期開発までの期間を短縮したい
解決の仕組み3次元LiDARセンサーによるクレーンを使用する周辺環境と、クレーンの制御結果をシミュレーションし、センシングと制御の統合検証を可能にするシミュレーターを開発する
推進母体/体制タダノ、タダノインフラソリューションズ、イーソル、フレームシンセシス
活用しているデータ実機仕様に基づく3次元LiDARの計測データ、クレーンの周辺にある構造物データ、クレーンの制御結果のデータ
採用している製品/サービス/技術ゲームエンジン「Godot」(オープンソースソフトウェア)
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