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リコージャパンが顧客課題の把握に向けて商談音声をAIで分析、自社ノウハウを加味した外販も
リコージャパンは、顧客の課題を解決する型への営業転換を図っている。その一環として営業担当者約6000人に、録音した顧客との商談内容をAI(人工知能)技術を使って文字起こしし顧客の課題を抽出するツールを提供している。自社内での取り組み成果を加味し、同ツールの外販にも乗り出した。そのための資本業務提携を2026年8月4日の記者発表会で説明した。
「コロナ禍以降、機器の納入以外について顧客から要望を受けるようになり、経営課題や業務課題への踏み込むケースが増えている。そうした顧客の声に応えるため“モノ売り”から課題解決型の“コト売り”へ営業の転換を進めている」--。リコージャパン 代表取締役社長の笠井 徹 氏は、こう語る(写真1)。
手入力の活動報告では顧客課題が見えてこなかった
リコージャパンはリコーグループの販売会社として、複合機やITサービスなどを扱っている。営業スタイルの転換に向けては、まず2023年度に社内の従業員約1万2000人を対象に情報共有基盤を導入。2024年度にはSFA(Sales Force Automation:営業支援)システムを刷新した。「散在していた社内の情報を集め、SFA上の活動データと組み合わせることで営業関連業務の自動化を図るため」(笠井氏)である。
具体的には、顧客への提案内容や困りごとへの解決策を、営業担当者が探すのではなく、商談内容を基にAI(人工知能)技術を使って導き出すことで、働き方から変えようとした。従来は、営業担当が資料や過去の事例から、顧客への提案や顧客課題の解決につながる情報を探しており、多くの時間が掛かっていた。
自動化は「人員削減を想定したものではなく、より丁寧で中身の濃い商談を支援するため」(笠井氏)の位置付けだ。まずは商談記録から顧客課題の抽出を試みた(図1)。
だが「SFAに手入力された営業活動報告の約1000万件をAI技術で分析してみても、顧客課題を抽出できたのは全商談の約9%に過ぎなかった」(笠井氏)という。手入力の活動報告は「営業担当者が、限られた時間の中で“重要”と判断した情報だけに偏っており、顧客の困りごとを細かく把握して提案の起点にするための情報源としては不十分だった」(同)のだ。
録音データのAI分析により顧客課題の把握が月間約4.5万件に
そこで、商談時の会話そのものをデータとして残す方針に切り替えた。2026年4月に商談記録用AIサービス「ナレッジワークAI商談記録」(ナレッジワーク製)を営業担当約6000人に展開。対面商談やWeb会議、電話などの内容を録音し、それをAI技術で文字起こしから、要約、分析、日報作成までを処理する。
さらに生成AI技術を使って顧客の経営課題や業務課題などを抽出し、CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)システムとSFAシステムに自動で入力できるようにした。
4月の導入から6月末までに約18万件の商談記録を取得した。従来の手入力と比べ、1商談当たり情報量(文字数)は平均約73文字から約1340文字にまで増えた。AI技術による課題抽出率も「これまでの約9%が約71%と約8倍に高まり、顧客課題の件数は月次でSFAシステム刷新時点の約1万件が約4.5万件へ増えた」(笠井氏)という(図2)。


