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MONET Technologies、地域住民とつながる“地産地消”のモビリティサービスを作り上げる

Impress DX Awards 2019総合フランプリ/プロジェクト部門(一般)グランプリ

岡崎 勝己(ITジャーナリスト)
2021年1月1日

デジタルとリアルな現実世界を結び付ける

 デジタルとリアルの融合の難しさもあります。MaaSは、オンラインを活用しながら現実世界のモビリティを最大限に利用するサービスです。しかし現実世界の移動手段には物理的な制約があり、それが運用を手間取らせ、スピードを低下させる原因になっています。デジタルとリアルをどう結び付けるかは今後も模索し続けならない大きなテーマです。

 関連して、MaaSと、その利用者である地域住民との“つなぎ”も重要です。たとえば、モビリティに関する課題が顕在化している地域は高齢者が多く、スマホへの抵抗感も根強い方もおられます。こうしたデジタルデバイドも改善していかなければ、MaaSそのものに関心をもってもらえません。

――MaaSの拡大に向けてMONET自身がサービスを提供したり、事業者間の協業を仕掛けたりするのでしょうか。

 新しいサービス開発の主役は、あくまでも参加している自治体や企業であり、その最終的な受益者である地域住民のみなさんです。その中でMONETは、あくまでも仕組み作りを側面から支える裏方です。いわゆるB2B2C(企業対企業対個人)型のサービスモデルです。

 サービスを普及させるためには、何より地域のみなさんが「生活が便利になってきた」と実感できなければなりません。そのため当社が、地域に寄り添う立場にある自治体や交通事業者およびサービス提供企業と、地域住民との仲介役になり、サービス品質の向上を支援する必要があります。

 特に新しいサービスでは、その内容に応じて小型から大型まで特性が異なる車両の使い分けなどが必要になるはずです。ニーズに合致した車両の提供を自動車メーカーなどに呼びかけることもMONETの仕事になります。

――MaaSを実現するためのシステム基盤の開発は順調ですか。

 システム基盤となる「MONETプラットフォーム」は、2020年4月から機能を拡充し本格運用を始めています。

 MONETプラットフォームは、モビリティに関するデータを網羅的に蓄積するデータレイクと、天気予報や観光、道案内などデータレイクを活用するためのアプリケーション群を提供するマーケットプレイスからなります。データレイクは2019年には整備を終えていました。

 マーケットプレイスでは、アプリケーション群を外部から利用するためのAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)をコンソーシアム加盟企業に向けてプレオープンしました。加盟企業外にも早期に公開することで、データとアプリケーションの双方を使った新しいMaaSの開発を広く支援していく予定です。

 サービス開発を加速させるためには、利用できるアプリケーションが多いほど良いでしょう。今後も全国の自治体のニーズなども機器ながら必要なアプリケーションの開発も続けます。

――プラットフォームが整った今後、サービスの充実どう図っていきますか。

 基本になるのは、コンソーシアムでの議論の深化です。その一環として近く、APIや医療連携といった個別テーマに特化した部会を新設します。そこでの議論を踏まえつつ、実証実験を経たサービスを横展開し、サービスエリアの拡大を図っていきます。並行してコンソーシアム内で各種の結果を共有し、サービスの質的な向上にも取り組む計画です。

 技術面では、より高度なサービスを実現するために、新たなデータの拡充や適切な活用に向けたデータ特性の検証などを続ける必要があります。今後増えるであろうEV(電気自動車)とプラットフォームの連携も不可欠です。

地域を巻き込んだ地産地消のサービスを目指す

 公共交通サービスの現状が示しているように、モビリティサービス単体で利益を上げるのは難しいでしょう。そうした中で我々は、社会に役立ち、かつ持続的なサービスの立ち上げに挑戦しています。MONETの提案が正しいかどうかも正直、やってみなければ分からない面があります。

 ただし、明るい材料が見つかっているのも事実です。1つは、昨今の新型コロナの影響で、モビリティに対する安全意識が変化しました。移動すべきかどうかなど、これまで意識しなかったことを生活者が考え始めました。通院や買い物など、生活に不可欠なモビリティの領域も明確になってきました。

 こうした意識の基、それぞれが知恵を持ち寄り、地域の中小商店なども巻き込みながら改善を続けることで、地産地消の持続的なサービスを実現させたいと考えています。それが地域の元気を生み、コンソーシアムの喜びにもつながるのだと思います。