Column
生成AIで理想のCX（顧客体験）を実現する

コンタクトセンターの働く環境を変える高精度のAI音声認識サービスが顧客満足度の向上につながる

DIGITAL X 編集部

2025年7月24日

各種AIサービスのパッケージ化で管理負荷の軽減やデータの分断をなくす

　一方で大規模なコンタクトセンターに向けては、複数のAI関連サービスをパッケージ化した「PKSHA AI Suite for Contact Center」を用意する。Speech Insightのほか、知識ベースを提供する「PKSHA Knowledge Stream」、AIチャットボットの「PKSHA Chatbot」、音声応答のための「PKSHA Voicebot」、AIベースのFAQシステム「PKSHA FAQ」、データ分析・解析用の「PKSHA Analytics」、人員配置作業の効率を高める「コール量予測／シフト最適化（AI）」、オペレーター教育のための「AI Coach」などが含まれる（図2）。

図2：「PKSHA AI Suite for Contact Center」の全体イメージ

　AI Suite for Contact Centerの特徴について、同社CS事業本部マーケティング&アライアンス部副部長の前良太氏は、こう話す（写真2）。

写真2：PKSHA Communication CS事業本部マーケティング＆アライアンス部副部長前良太氏

　「大規模なコンタクトセンターを運営している企業の多くは既に、チャットボットやFAQ、音声認識といったツールを導入しています。ただ、それらAIツールの提供元がバラバラで、管理が煩雑化していたり、ツールごとにデータが分断され連携が図れていなかったりしているのが現状です。AI Suite for Contact Centerは、1つのパッケージで音声認識からチャットボットやFAQ、オペレーター支援にまで対応します。加えて全てのツールを跨いだデータの循環や分析も可能になります。こうした点が評価され、多くの大規模コンタクトセンターに導入されています」

　大規模コンタクトセンター導入の一例に、みずほ銀行がある。同行では前氏が説明したのと同様に、従来、複数のツールを使って実現してきたコンタクトセンターのシステムをAI Suite for Contact Centerで一新している。

パートナー企業とのアライアンス強化で顧客ニーズへの対応力を高める

　Speech InsightやAI Suite for Contact Centerが提供できる機能を、より現場のニーズに即した形で利用してもらうために同社が力を入れるのが、パートナー企業とのアライアンスである。その理由を前氏は、次のように説明する。

　「顧客企業各社のコンタクトセンターの中で当社サービスをしっかりと機能させるためには、PBX（Private Branch Exchange：電話交換機）などの電話基盤やCRMシステムなどとの連携が不可欠です。ただ規模が大きくなればなるほど、そうしたインテグレーションに当社だけで対応するのは困難です。コンタクトセンター向けシステムの構築が得意なシステムイングレーターや、関連サービスなどを提供するパートナー企業の力を借りなければなりません」

　そのうえで前氏は「既に、パートナー企業との協業を通じて大規模コンタクトセンターのシステムを改修した事例が出始めています。今後も、パートナー企業とのアライアンスを強め、顧客企業が求める顧客接点でのサービス品質向上に寄与していきたいと考えています」と力を込める。小島氏も「そのためにもAI技術の開発をさらに強化し、コンタクトセンターの生産性とCXの品質を高められるサービスを実現していく」とする。