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  • 巧妙化する攻撃から事業継続を守り抜く、重要インフラ&産業サイバーセキュリティの今

実務担当者が語る産業サイバーセキュリティ人材のキャリアプランと組織の課題

「第10回 重要インフラ&産業サイバーセキュリティコンファレンス」のパネルディスカッションより

齋藤 公二
2026年6月3日

重要インフラを担う産業界では、IT(Information Technology:情報技術)とOT(Operational Technology:制御・運用技術)の融合が進み、双方の知見を兼ね備えたプロフェッショナルが渇望されている。IPA(情報処理推進機構)が提供する「中核人材育成プログラム」の修了者が「第10回 重要インフラ&産業サイバーセキュリティコンファレンス(主催:インプレス、重要インフラサイバーセキュリティコンファレンス実行委員会、2026年3月4日〜5日)」に登壇し、現場でのキャリア形成や組織設計の在り方について意見を交わした。(文中敬称略)

長谷川 弘幸 氏(以下、長谷川) :名古屋工業大学 ものづくりDX研究所 客員助教の長谷川 弘幸です(写真1)。企業のセキュリティ戦略立案支援に関する研究をしています。

写真1:名古屋工業大学 ものづくりDX研究所 客員助教の長谷川 弘幸 氏

 現在、サイバーセキュリティの労働力は全世界で約550万人ですが、依然として約480万人が不足している状況です。わずか2年で必要人数が40%以上も増えており、需要に対し供給が追いついていません。

 単なる人数不足だけでなく、AI(人工知能)やOT(Operational Technology:制御・運用技術)/ICS(Industrial Control System:産業用制御システム)、ゼロトラストといった最新技術への対応、さらには円滑なコミュニケーションや高い問題解決能力といった非技術面でのスキルギャップも深刻な課題です。

 こうしたなかIPA(情報処理推進機構)では、2017年から産業サイバーセキュリティセンター(ICSCoE)が「中核人材育成プログラム」を提供しています。1年間の集中的なトレーニングを通じて、経営と現場をつなぐ中核人材を育成します。本日のパネリストは全員が、このプログラムの修了者です。まずは、皆さんのキャリアの歩みをご紹介ください。

業務部門からサイバーセキュリティ分野に配属される例も

繁田 大輝 氏(以下、繁田) :東京ガスiネット セキュリティ統括部の繁田 大輝です(写真2)。2020年の入社以来、一貫して東京ガスグループ全体のセキュリティ業務に携わってきました。インシデントへの対応や調査分析を担うCSIRT(Computer Security Incident Response Team)業務のほか、各種対策の設計・導入、さらに管理者向けの教育プログラムの企画・作成を担当しています。

写真2:東京ガスiネット セキュリティ統括部の繁田 大輝 氏

西澤 優里 氏(以下、西澤) :西日本旅客鉄道(JR西日本) デジタルソリューション本部 システムマネジメント部 情報セキュリティ室 セキュリティ技術の西澤 優里です(写真3)。IT(Information Technology:情報技術)系統の採用で2021年に入社しましたが、最初のキャリアは福井駅での駅係員でした。2年目から現在のセキュリティ部門へ配属され、重要インフラシステムのセキュリティ、WAF(Web Application Firewall)やCDN(Content Delivery Network)の運用、自社ドメインの管理やCSIRTの運営などを担当しています。

写真3:西日本旅客鉄道 デジタルソリューション本部 システムマネジメント部 情報セキュリティ室 セキュリティ技術の西澤 優里 氏

水田 創 氏(以下、水田) :中部電力パワーグリッド 本社 配電部 配電系統高度化グループ 副長の水田 創です(写真4)。2008年に入社し、長らく配電部門で現場設備の設計や、次世代スマートメーターシステムの構想策定・開発に従事してきました。現在は、自部門のセキュリティ統括や監査対応、スマートメーターシステムの開発に従事しています。

写真4:中部電力パワーグリッド 本社 配電部 配電系統高度化グループ 副長の水田 創 氏