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- 6Gで加速するシン・物流革命
物流/ロジスティクスの視点から見た6Gへの期待【第1回】
急激に拡大するデジタル領域への対応
生活空間でのデジタル領域の拡大に伴い、リスクへの対応が大きな課題になっています。人々の情報収集においてインターネットが主要な手段になる中、偽情報や誤情報への対応、AI技術の急激な普及に伴うリスク拡大、世界情勢の不安定化や緊迫化に伴うサイバー攻撃対策など、強靭かつ信頼性の高い次世代通信が求められています。
産業構造の変化への柔軟な対応
人々の移動手段は大きく変容しつつあります。その典型例が自動運転システムです。MaaS(Mobility as a Service:サービスとしての移動)の拡大に加え、物流トラックやタクシー分野への自動運転技術の導入も今後は、さらに加速していくと考えられます。地上系だけでなく、空飛ぶクルマやドローンといった空中利用の移動手段も普及が始まるとみられています。
動画配信サービスの拡大に伴い、AR(Augmented Reality:拡張現実)/XR(Extended Reality:空間融合技術全体)を活用した新たなコンテンツ需要が拡大しています。コンサートやスポーツイベントなど大型催事における高精細ライブ配信へのニーズも急速に高まっています。
また生産/物流現場では、フィジカルAIの導入が進み、ロボットやAMR(自律走行搬送ロボット)、インテリジェントパレットといった自動化機器の普及も加速していくと考えられています。農業、水産業、林業といった1次産業では、従事者の高齢化や人手不足、作業効率の向上など、多くの課題を抱えています。
このように6Gを取り巻く環境は、これまでとは大きく異なる産業構造の変化が待ち受けています。そうした産業における遠隔操作や自動化、データ活用を支える通信基盤として期待される6Gでは、普及に向けた低廉な利用料金も重要になります。
AIとの親和性の高いネットワーク
近年はAI技術が著しく進化しています。膨大な設備で構築されるモバイルネットワークの保守や点検にはこれまで、多くのネットワークエンジニアが動員されてきました。しかしAI技術をネットワーク内に組み込むことで、機器故障の予知や故障時の自動修復・自動回復が可能になりつつあります。
実際、欧州の通信事業者では、自動診断AIシステムの導入により、ネットワークの運用状態を監視するオペレーションセンターの大幅な省人化が進められています。今後はAI技術との親和性の高いネットワークが極めて重要になります。
さまざまな産業領域に大きな影響を与える
このように6Gは、宇宙空間を含めた通信エリアの拡大や立体化、遠隔医療などのリモート診断、ロボット制御の高度化、一次産業のスマート化、災害時を想定した強靭化、交通インフラの進化など、さまざまな産業領域に大きな影響を与える可能性を持っています。物流/ロジスティクスに対しては、どのようなインパクトを与えるのでしょうか(図2)。
次回から、物流/ロジスティックス分野を題材に、6Gが、どのようなインパクトを与えるかを、その適用領域の別に解説していきます。
中村 康久(なかむら・やすひさ)
技術コンサルタント。工学博士(東京大学)。NTT電気通信研究所、NTTドコモブラジル、ドコモUSA上級副社長、NTTドコモ理事、ユーピーアール株式会社常務、技術顧問を経て現職。東京大学工学部計数工学科卒業。元東京農工大学大学院客員教授、放送大学講師。主な著書・共著に『Wireless Data Services-Technology, Business model and Global market』(ケンブリッジ大学出版)、『物流DXネットワーク』(NTT出版)、『スマートサプライチェーンの設計と構築』(白桃書房)、『シン・物流革命』(幻冬舎)、『シン・物流』(インプレス)などがある。
