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  • 6Gで加速するシン・物流革命

物流/ロジスティクスの視点から見た6Gへの期待【第1回】

中村 康久(技術コンサルタント)
2026年10月29日

日本における生活の利便性は今、かつてないほどに高まってきています。その基盤を支える2本柱が、デジタル領域の進化と物流サービスの高度化でしょう。本連載では、デジタル領域が拡大する中でも、モバイル通信の進化形である6G(第6世代移動通信システム)に焦点を当てながら、その進化が物流からロジスティクスへの高度化に、どう影響していくかを解説していきます。

 日本の生活は、さまざまな取り組みにより、その利便性が高まってきています。さまざまな取り組みの中でも、社会基盤を支えているのが、デジタル領域の進化と物流サービスの高度化の2本柱でしょう。

デジタル技術の進化が物流サービスの高度化を促している

 まずは最初の柱であるデジタル領域の進化を見てみましょう。社会インフラとしてのデジタル領域の拡大・浸透は、毎日の生活に多大な影響を与えています。スマートフォンやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)、クラウドといったデジタルサービスやツールのない生活は、あらゆるシーンにおいてもはや想定できないものになっています。

 『令和7年情報通信白書』によれば、60歳代の約8割がネット接続端末としてスマホを利用しています。動画配信サービス「YouTube」の利用者は全体では約9割、60歳代でも約7割に達します。「X(旧Twitter)」の利用率も全体の約半数です。情報収集手段としても、インターネット経由が主要なニュース源になっており、YouTubeは、どの世代でも約3割がニュースの取得手段として利用しています。

 企業活動においても、約8割の企業がクラウドサービスを利用しています。10年前に比べると大幅な増加であり、その比率は年々高まっています。

 特に近年はAI(人工知能)技術の爆発的な普及と進展が顕著です。生成AI技術を活用する方針を定めている企業は全体の約50%を占めます。個人の生成AI技術の利用経験は全体で約30%、20代では約45%と、年々増加しています。

 もう1つの柱である物流サービスの高度化化も、とどまることを知りません。コロナ禍を経て、人々の購買行動も大きく変容し、ネットショッピングが大きくシェアを拡大しました。それを契機に物流サービスも劇的に進化しつつあります。

 物流はモノを運ぶだけの時代を終え、モノと情報がリアルタイムに結び付いたロジスティクスへと進化しています。先進的な物流事業者はDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を今後の経営課題の中心に据えるようになりました。人手不足や省力化、自動化などの課題解決に向けて、AIなどのデジタルテクノロジーをテコに新たな成功事例を構築しようとしています。

5Gを上回る機能で社会課題を解消へ

 現代の社会基盤を支えているデジタルテクノロジーの筆頭格はモバイル通信技術ではないでしょうか。1980年代にアナログ方式の携帯電話システム(1G:第1世代移動通信システム)が登場して以来、おおむね10年ごとに方式が進化してきました。現在は5G(第5世代移動通信システム)方式が世界各国で導入・運用されています。

 そして2030年頃の実用化に向けて6G(第6世代移動通信システム)の研究開発が進められています。5Gを上回る高速・大容量通信に加え、低遅延、高信頼、広域カバー、省電力、自律運用などの実現が目標です。以下のような課題を解消するのが目的です(図1)。

図1:6G(第6世代移動通信システム)を求める環境の変化

通信エリアカバー率の向上

 モバイルネットワークはこれまで、地上に膨大な基地局設備を建設し運営されてきました。通信可能エリアを判断する尺度として人口カバー率(居住人口をどれだけカバーするか)が用いられてきました。日本のモバイルネットワークは長年の努力の蓄積により、世界でもトップクラスの人口カバー率を実現しています。

 ただし日本では、人口の多くが大都市圏に集中しているため、地方の過疎地や、山岳地、離島、海上までを含めたエリアカバー率では、まだ十分とは言えないのが実態です。近年、社会問題化している地震や火災などの災害は地方で発生するケースも多く、災害時の通信網確保には人口カバー率だけでなく、エリアカバー率の向上も不可欠です。

 さらに、3次元的な通信エリアの確保も重要です。農業や配送分野でのドローン活用は年々増加しており、今後急激に増大するドローン運用には、コネクテッド化された通信基盤が不可欠になります。6Gでは、こうしたエリアフリー環境の実現が期待されています。