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悪用までの猶予が「1分」に迫るフロンティアAI時代に開発と本番を貫く脆弱性管理が必要

「インプレス AI Days 2026」より、日本IBM ソフトウェア事業統括 オートメーション・プラットフォーム事業部の河野 哲也 氏

阿部 欽一
2026年10月29日

 優先順位付けには、Concert独自のリスクスコアを用いる。脆弱性の技術的な深刻度を示すCVSS(Common Vulnerability Scoring System:共通脆弱性評価システム)のベーススコアに、実際に悪用される可能性を評価するEPSS(Exploit Prediction Scoring System:悪用予測評価システム)、アプリケーションの重要性やデータの機密性、ネットワークへの露出度を定量化した環境ファクターを組み合わせる。

 米CISA(Cybersecurity and Infrastructure Security Agency:サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁)が公開する「KEV(Known Exploited Vulnerabilities:悪用が確認された脆弱性)カタログ」にも対応する。管理画面では、どの脆弱性がどのアプリケーションに影響するかを関係図で示し、生成AI技術を使って脆弱性の詳細や対応方法を調べる機能も備える。

 優先順位を付けた脆弱性へのパッチ適用はローコード/ノーコードの運用自動化ツール「IBM Concert Workflows」で自動化する。河野氏は「ITスキルがそれほど高くない担当者でもパッチ適用を自動化できる」と話す。手動実行やスケジュール実行のほか、API(Application Programming Interface)経由で外部から呼び出し、既存のワークフローシステムやITSM(IT Service Management:ITサービス管理)ツールと連携する使い方にも対応する。OSパッチの適用やコンテナイメージのアップグレードなど、脆弱性対応向けのテンプレートもそろえる。

 一方のShift Leftの領域では、CI(Continuous Integration:継続的インテグレーション)/CD(Continuous Delivery:継続的デリバリー)パイプラインにSAST(静的アプリケーションセキュリティテスト)やDAST(動的アプリケーションセキュリティテスト)を組み込み、その結果をConcert Protectで優先順位付けする。修正は「IBM Concert Secure Coder」が担う。IDE(統合開発環境)と連携し、開発者がコードを書いている最中に、セキュリティ上の問題がある箇所と修正方法を示す。「プルリクエストやパイプラインに進む前に、IDEの中で問題を解決する」(河野氏)わけだ。

 Secure Coderの対象はコードだけではない。ライブラリに潜む既知のCVEを検出し、安全な代替バージョンを推奨する。Concert Protectが把握しているSAST/DASTのリスク情報をIDEへ同期し、該当箇所の修正も促す。リスクスコアは開発者のIDEとConcert Protectのダッシュボードで共通にしている。河野氏は「セキュリティ担当者がConcert Protectで見ている数字と同じ数字を開発者も見ながら、同じ対応ができる」と説明する。

CVE公開前にパッチを先回りして届ける

 Shift Leftを支えるもう1つの柱として河野氏が紹介したのが、IBMと米Red Hatが主導する業界横断の取り組み「Project Lightwell」である。2026年に発表したもので、商用サポートのないOSSを対象に、フロンティアAIが発見した脆弱性の特定と是正を図るものだ。「CVEが公開される前に脆弱性のパッチを提供できるのが特徴」(河野氏)であり、総額50億ドルが投じられ、2万人を超える専任エンジニアが参加する。

 Lightwellの情報やパッチはIBM Concertを通じて提供される(図3)。Concertで可視化・優先順位付けしたうえで適用を決めたパッチは、Concert Workflowsを介して構成管理・自動化ツール「Red Hat Ansible」(Red Hat製)やインフラ構築ツール「Terraform」(米HashiCorp製)、マシンイメージ作成ツール「Packer」(同)で展開する。

図3:IBM ConcertとLightwell、Ansibleで脆弱性管理を自動化する

 河野氏は「IBMはこうした仕組みを束ね、監査対応までを含めて脆弱性管理を一貫して担っていく」と力を込める。

お問い合わせ先

日本アイ・ビー・エム株式会社

Webサイト:https://www.ibm.com/jp-ja/products/concert