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DX時代の競争力を生むAI内製化の落とし穴、AIは開発して終わりではない〔PR〕

東大発ベンチャー・アイデミーが「modeloy」で提供する“MLOps”の価値

DIGITAL X 編集部
2020年5月22日

さまざまな場面の自動化・高度化に向けてAI(人工知能)を利用する動きが広がっている。機械学習(ML:Machine Learning)/深層学習(DL:Deep Learning)に長けた人材の獲得・育成に注力し“AI活用の内製化”に取り組む企業も増えている。だがAI人材の育成に向けた教育事業などを手がけてきた東大発ベンチャー、アイデミーの代表取締役である石川 聡彦 氏は、「AI活用はAI人材だけでは実現できない」と指摘し、新サービス「modeloy(モデロイ)」を立ち上げた。modeloyはAI活用における、どんな課題を解決するというのだろうか。

 「AI(人工知能)が人間の仕事を奪う」――。そんな視点をもって騒がれたAIも今では、「人間と共存する存在」との見方に変わってきた。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の登場以後はもはや、業種・業態を問わず種々の自動化・高度化を進めるためには不可欠との認識が強まっている。AI活用に向けた人材の獲得・育成に注力する企業も増え、人事制度や給与体系にメスを入れるケースも見られる。

AIが、ものづくりにおける競争優位性を生み出す

 そうしたなか、AI人材の教育事業などで成長しているのが2014年創業の東大発ベンチャーのアイデミーだ。オンライン教育コンテンツに加え、AIシステムの開発や現場での定着に向けたコンサルティングなどを「Aidemy Business」として提供する。顧客には、ダイキン工業など国内大手を含む120社以上を持つ。

 アイデミー代表取締役の石川 聡彦 氏は、企業のAIへの取り組み状況を「5~6年前までは、AI開発といっても外部に委託するケースが大半でした。それが、ここ2~3年は内製化への切り替えが急ピッチで進んでいます。AIを新たな経営の武器にするには、AIを使いこなせるだけの知識や経験の蓄積が不可欠であり、それには自社業務に最も精通した社員による自社開発が一番の近道だからです」と話す(写真1)。

写真1:アイデミー代表取締役の石川 聡彦 氏(緊急事態宣言下にインタビューをオンラインで実施した)

 ものづくり企業を含め、日本企業がAIの内製化を急ぐ理由の象徴の1つが車の自動運転。車というモノ作りでの競争が、従来の質の良いハードウェアをできるだけ安く作るという観点だけでなく、自動運転を可能にするAIなどソフトウェアとの融合を図りユーザー体験を総合的に高める競争へと急速に切り替わりつつある。そこではソフトウェアが競争優位性を生み出す源泉になる。

 こうした変化は自動車にとどまらず、各種のものづくり業界や、金融や保険、医療や健康、都市計画や都市の社会基盤など多くの業界/分野に広がっている。「競争優位性を支えてきた従来の強みがソフトウェアによって失われていく」という流れをいち早く察知した企業が、新たな競争優位性を獲得するために、AIの内製化を指向しているというわけだ。

 しかし一方で、PoC(Proof of Concept:概念検証)までは順調に進んだものの実運用に臨む段階で計画が頓挫するケースが今も少なくないという。その最大の原因を石川氏は「PoCでは機械学習(ML:Machine Learning)モデルの開発が最優先されますが、実運用ではモデルのメンテナンスや最新データを収集するためのIT環境などが必要になります。こうした運用フェーズにまで目が行き届いていないと言わざるを得ません」と指摘する。

AIの実運用ではサーバーやネットワークなどITのスキルも必要に

 AIの実運用段階で必要になるのは、大きく(1)AIの精度を維持・向上させるための保守・再学習と、(2)再学習に必要なデータの収集などを含む周辺システムとの連携の2つである(図1)。

図1:機械学習プロジェクトにおいては運用フェーズが重要にもかかわらず見落とされがちだ(出所:アイデミー)

 まずAIの保守・再学習について石川氏は「機械学習プロジェクトではモデルの完成が最終目標だと考えがちですが、たとえ良い機械学習モデルが出来上がっても、そのまま使い続けるだけでは、未学習なデータへの対応などができず、精度の低下が避けられません」と強調する。

 AIの精度を維持・向上するためには、開発したモデルが正しく動作しているかの確認や、現場で発生する最新データを使ったモデルの再学習、再学習したモデルの現場への配布といった保守作業を継続できるだけの仕組みと体制が不可欠である。再学習の結果、精度が低下するケースも起こりえるだけに、従来のモデルに戻したうえで再度、学習ができるような仕組みも必要になる。

 次に周辺システムとの連携では、AIの学習に必要な各種センサーデータなどを収集するIoT(モノのインターネット)のほか、AIが算出した結果を引き渡す既存システムなどとも接続しなければならない。そこでは「各種システムが動作しているサーバーやネットワークといった、いわゆるITのインフラスキルや経験も必要になってきます」(石川氏)

 機械学習プロジェクトは一般に、現場のリーダーと機械学習やデータの専門家からなる専任チームによって立ち上げられる。機械学習のモデル開発という新しい領域でのチャレンジであるため、機械学習モデルのPoC段階からIT部門や従来から付き合いのあるシステムインテグレーターなどが参加することは少ない。

 そうしてPoCまではこぎ着けたものの、実運用に臨む段階で、それまでの機械学習モデルの開発とは大きく異なる知識とスキルの壁に遭遇する。しかも「大手企業ほどAIの適用範囲も大規模になるため、運用に必要な仕組みの整備工数やコストも膨らみます。結果、この段階になって初めてAI導入の投資対効果が見合わないことが明らかになることも珍しくないのです」と石川氏は明かす。

 新たな競争優位性の獲得というAI活用の本来の狙いからすれば、多くの企業がモデル開発やその保守に専念したいのは明らかだ。だが現実には、IT関連の知識やスキルが必要になる。組織の“壁”の問題も相まって、AI活用に向けた運用課題を解決するための答えは簡単には出そうにない。