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DX(デジタルトランスフォーメーション、ディーエックス)
英語表記 :Digital Transformation
中国語表記 :数字化转型(Shùzìhuà zhuǎnxíng:シューズファー ジュアンシン)
重要性 :★★★
定義
デジタル技術を活用して、新規事業や社会に向けたサービスを創り出し、会社や組織、社会のあり方を変革すること、および、そのための取り組み。これまでの仕事のやり方を暮らし方などを変革し、新たな事業価値・社会価値を創出すること
概要
DX(デジタルトランスフォーメーション)は、定義にもあるように、その目的や手段は広範です。結果、様々な人が、それぞれの立場から様々な考え方を提唱しているほか、解決したい課題のとらえ方によって、トランスフォーム(変革)という言葉が指し示す意味や対象も変化しています。
例えば経済産業省が2018年9月に発表した『DXレポート~ITシステム「2025 年の崖」の克服と DX の本格的な展開~』では、DXを次のように定義しています。
「企業が外部エコシステム(顧客、市場)の破壊的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネス・モデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」
この定義を筆者なりに整理したのが図1です。
図1にあるように、DXを推進するためには、ビジネスとデジタル技術の活用の双方からアプローチし、それぞれのバランスを取りながら、社内外で、これまでの仕事のやり方を暮らし方を変えていく必要があります。そのためDXは、一朝一夕に進むものではないのは事実です。
継続的な取り組みを促すために、経産省と東京証券取引所は2020年から、DXに積極的に取り組む企業を「DX銘柄」として選定し公表しています。DX銘柄は、同省が2015年から選定してきたIT活用に積極的な企業である「攻めのIT経営銘柄」を発展させたものです。
DX銘柄に選定された企業は、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)といったデジタル技術を活用しながら、少子高齢化を背景にした労働力不足や熟練技術者のノウハウ継承、顧客に対する新たなサービスの創造などに取り組んでいます。
「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉を最初に提唱したのは、スウェーデンの情報学・コンピューティング学・工学系研究科の情報学教授であるエリック・ストルターマン氏で、2004年のことです。ストルターマン教授の定義は「進化し続けるテクノロジーが人々の生活を豊かにしていく」でした。
その後、クラウドコンピューティングやスマートフォンなどの浸透を背景に、EC(電子商取引)やSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)、シェアリングサービスなど、様々なネットサービスが登場し、私たちの日常生活に欠かせない存在にもなってきました。こうした社会の変化、個人のニーズの変化に対応することが、DXに取り組むべき理由の中心に位置しています。
さらに2020年に世界中に広がった新型コロナウィルス感染症(COVID-19)により、DXへの取り組みが加速されるようになりました。リモートワークの広がりなどを受け、業務を抜本的に改革しなければならなくなり、新たな働き方・暮らし方の模索が始まったからです。
今後も、テクノロジーの進展や社会への浸透を背景に、様々な課題を解決するDXの取り組みが登場してくることでしょう。
なお、DXと似た文脈で使われる用語に「X-Tech(クロステック)」があります。DXがビジネスや社会の変革(トランスフォーメーション)にフォーカスするのに対し、X-TechはDXを推進・実現するためのテクノロジーやサービスに重心があります。業種・業務別にまとめて「FinTech(フィンテック)」(金融分野)や「AgriTech(アグリテック)(農業分野)などと呼びます。
アルサーガパートナーズ DX用語集チーム
リーダー:山川 信之シニアコンサルタント、中国語監修:胡 文軒ディレクター