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PoC(Proof Of Concept。ポックまたはピーオーシー)

アルサーガパートナーズ DX用語集チーム
2021年9月29日

英語表記  :Proof Of Concept
中国語表記 :验证性测试(yàn zhèng xìng cè shì イェンジェンシンチェーシー)

重要性 :★★★

定義

新しい技術やアイデアなどが機能するかどうか、目的とする効果を得られるかどうかといった実現可能性を実際に動作する仕組みを構築して検証すること、もしくは、その工程のこと。概念実証と訳される。

概要

 PoC(Proof of Concept。ポックまたはピーオーシー)は、机上の理論や計算だけでは不確実なシステムやアイデアを、実際に動作する仕組みを構築して実地で検証することです。大規模なコストを伴う新規性の高い事業の立ち上げや、革新的な技術やアイデアを導入した製品/サービスの開発といった新規プロジェクトが抱えるリスクを回避するのが目的です。

 新規プロジェクトでは、そのアイデアの新規性や使用する技術の革新性が高ければたかいほど、そのプロジェクトの成否を予測することは困難です。そのため巨額の予算を投下する前に、プロジェクトの中核部分を小規模に構築し実現の可否を検証するのです(図1)。

図1:PoC(Proof of Concept)はアイデアの実現性を確かめるために実施する

 PoCは最初、大型投資や革新的技術を必要とする製造業界や製薬業界、映画業界などから始まりました。ですが、技術革新の速度が速いIT/デジタル業界においては常に技術的リスクを伴うだけに、多くのプロジェクトでPoCを実施することが一般的になっています。

 IT/デジタル分野でPoCが重視されるのは、技術的な課題の確認に加え、開発した製品/サービスが利用者に受け入れられるかどうかを確かめることも重要だからです。デジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた開発では、その傾向が、より強いため、DX開発におけるPoCでは、(1)技術的に難しい部分だけを先行して検証する、(2)一部ユーザーに実際に使ってもらい受け入れられるかどうかをテストする、(3)あるいは両方を実施します。

 技術的なPoCとしては、例えばAI(人工知能)技術を使って予測・検知したい場合は、そのAIが導き出す結果の正答率などを確かめます。ユーザーの受け入れ度合いを対象にしたPoCであれば、新しいユーザーインタフェースの操作性などを確認します。

 新たなことにチャレンジするには有効なPoCですが、留意点もあります。「PoCを何度も繰り返すものの次のステップに進まず、実際のプロジェクトを始動できない」という事態に陥らないようにすることです。PoCのコストや時間だけが消費される、こうした状態は「PoC貧乏」や「PoC疲れ」などとも呼ばれます。

 PoC貧乏/PoC疲れを回避するためには、PoCの目的/ゴールを明確にすることと、結果を正しく評価することが不可欠です。求める結果を確実に取得するためと、その結果から次に進むための仮説検証を繰り返す必要があります。

 加えて、新規プロジェクトにおける評価・判断では慎重になりがちです。慎重であることは良いのですが、慎重すぎると本来実行すべきプロジェクトも「辞めておこう」という判断にもなってしまいます。慎重と大胆のバランスを取ることもPoCを上手く進めるためのポイントです。

アルサーガパートナーズ DX用語集チーム

リーダー:山川 信之シニアコンサルタント、中国語監修:胡 文軒ディレクター