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要介護者の生活・体調に合わせた最適なおむつをAIで提案するサービス、介護施設向けにワイズマンが開発

DIGITAL X 編集部
2017年9月26日

介護施設を利用する要介護者の生活や健康状態に合わせて、最適なおむつをAI(人工知能)を使って提案するサービスを開発したと、医療・福祉分野のシステム開発事業を手がけるワイズマンが2017年9月25日に発表した。おむつの交換回数を減らし、要介護者と介護者の双方の心理的・物理的な負担軽減を図る。施設運営のコスト削減も期待できるという。

 開発したのは「おむつ最適化支援AI」というサービス。要介護者の体型や性別のほか、水分や食物の摂取量、便秘気味か下痢気味といった排泄の傾向などを入力すれば、それぞれに合ったおむつを提案する。例えば、水分を多く摂取する傾向がある要介護者には吸収量が多めの厚いおむつを、あまり摂取しない要介護者には薄いおむつを提案する。

 最適化の基本的な考え方は、「夜間は1晩を問題なく過ごせるように、昼間は利用者が不快に思うことがないように」である。これにより、おむつの交換回数を減らし介護者の負担減や、おむつの吸収量の限界を超えてしまい着衣やシーツまで交換するという場面の解消が期待できる。

 おむつ最適化支援AIは、日本IBMの統計解析ソフトウェア「IBM SPSS Modeler」とワイズマン独自のアルゴリズムで実現した。おむつの使用や交換などのデータを蓄積し、SPSS Modelerで統計解析して独自アルゴリズムで最適な、おむつを提案する。

 施設によっては安全策として、吸収量が多いおむつを全員に着用してもらうところもある。だが厚いおむつは単価が高く、全員に適用すると施設の運営コストを圧迫する。使用済みのおむつは事業系廃棄物のため廃棄にも費用がかかる。ワイズマンによれば「介護施設から出るゴミの9割がおむつ」。吸水量が少なくても良い人には薄いおむつを提供するようにすれば、直接的にも処理費用の面でもコスト削減につながる。

 一部の施設では、要介護者に合わせて、おむつを使い分けている。だが、介護者の経験に頼っているのが実状で、職員が退職したりすると、使い分けのポイントなどが引き継げないこともあるという。

 おむつの交換は、要介護者にとっても介護者にとっても大きな負担を強いる。要介護者にすれば、介護者の助けがあるとはいえ、交換のために体を動かすだけで体力を消耗し疲れ切ってしまう人もいる。就寝中におむつを交換すると、そこで目が覚め交換後も眠れず、昼間に眠ってしまうこともある。

 介護者にすれば、おむつだけでなく着衣やシーツも交換することになれば、それだけの手間がかかる。特に夜勤時は、介護者数を十分に確保できないと少人数で、おむつなどの交換に当たらなければならないし、その間は、他の要介護者からの要望に対応できないことになる。「こうした作業に忙殺され離職してしまうケースも少なくないだけに、おむつ最適化支援AIによって職員の定着率が向上する可能性がある」(ワイズマン)という。

 サービスはクラウド経由で、2017年11月下旬から提供を始める。利用料金は未定だが、5年契約、あるいは最低利用期間を設定したうえでの月払い契約のどちらかを選択できるようにする予定だ。