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患者情報を統合管理するクラウドサービス、日立が医薬品/医療機器メーカーなどに2018年4月から提供

DIGITAL X 編集部
2017年10月25日

医薬品や医療機器の開発に必要な患者情報を統合的に管理するクラウドサービスを日立製作所が2018年4月1日に開始する。患者情報の収集効率を高め、システム構築・運用コストを抑えることで、医薬品/医療機器の開発費用節減につながる。2017年10月20日に発表した。

 日立製作所が提供する「患者レジストリサービス」は、患者1人ひとりの疾患と、その治療内容、治療経過などを管理するデータベース。医薬品や医療機器のメーカーは、新製品開発に置いて必要な、臨床研究や治験のデータなどの患者情報を中央で統合管理できるようになる。例えば治験データなどは、治験に参加する全国の研究機関や病院の担当者がクラウドにアクセスしてデータを入力・更新しながら厳密に管理できる。必要な情報はすぐに取り出せる(図1)。特に少数の患者が全国に点在している希少疾患の臨床研究や治験データの管理が容易になるする。

図1:全国各地からクラウドのデータベースにアクセスする形にすることで、データを中央で統合管理することが容易になる(日立のプレスリリースより)

 2018年4月1日に施行予定の省令改正で、医薬品/医療機器のメーカーは、一定基準を満たせば、製品製造後の安全性評価データの管理にクラウドサービスを利用できるようになる。新製品の研究開発だけでなく、製造後の安全性管理のデータまで統合して管理できる。また医薬品/医療機器の開発や販売後の調査データなどを電子形式で収集するための指針として厚生労働省が示した「ER/ES指針」に準拠しており、データベースのデータをそのまま省庁に提出するデータとして利用できる。

 患者データの保存では、個人情報を秘匿するための独自サービスである「匿名バンク」を利用する。氏名、住所、生年月日など個人を識別できる情報は暗号化して保存する。暗号データの状態での高速検索を可能にしつつ、検索キーワードと格納データをランダムに記録して暗号化する特許技術を利用している。暗号化/復号に必要な鍵データはクラウド側では保有せず、医師など一部関係者のみが保有できる形にすることで暗号化データの安全性をさらに高めている。

 これまで日立は、国立精神・神経医療研究センターや東京大学などの医療機関や研究機関に、患者情報を管理するクラウド型のデータベースサービスを開発し提供してきた。その経験を基に、顧客ごとに個別開発していた個人情報管理機能や、治験に参加している患者の疾患や治療内容、治療経過などを記載している「CRF(Case Report Form:症例報告書)」のマスター管理機能など、患者情報の収集やデータベース運用に必要な機能を標準で提供する。

 患者レジストリサービスの利用料金は、初期構築費用が500万円(税別、以下同)から、年間の使用料金が300万円から。2018年4月1日から提供する予定。ただしER/ES指針への対応と、CRFマスター管理機能は2018年夏以降に提供する予定である。