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従業員1人当たりのコストを削減できるデジタルテクノロジーの組み合わせとは、Accentureが検証

DIGITAL X 編集部
2017年11月1日

AI(人工知能)や自律型ロボット、自動運転車、ビッグデータ分析などデジタルテクノロジーの範囲は幅広く、それらを適切に組み合わせる必要がある。米Accentureが、どんな組み合わせが従業員1人当たりのコストを最大限削減できるかを検証した。同時にデジタルテクノロジーが新たな雇用を生むことも確認したとする。調査結果はアクセンチュア日本法人が2017年10月26日に発表している。

 Accentureは今回、12の業界を対象に、売上高10億ドル以上の企業が従業員1人当たりのコストを大幅に削減しつつ、時価総額を高めるためには、デジタルテクノロジーをどのように組み合わせれば良いのかを検証した。対象にしたのは、エレクトロニクス、航空宇宙/防衛、自動車、消費財/サービス、産業機器、ライフサイエンス、運輸、医療技術、公益事業、天然資源、化学、オイル/ガスである。

 業界ごとに最大の効果をもたらすデジタルテクノロジーの組み合わせを示すのが図1である。各業界に有効なテクノロジーと、それらを導入することで得られる業界ごとの効果を時価総額に換算している。エネルギー企業の場合は、VR(仮想現実)、ビッグデータ分析、AIといったデジタルテクノロジーを組み合わせることで、時価総額を160億ドル(1兆8000億円。1ドル113円換算、以下同)以上高められるとする。

図1:業界の時価総額を最大化するデジタルテクノロジーの組み合わせ(出所:アクセンチュア)

 従業員1人当たりのコスト削減に最適な組み合わせを示したのが図2。例えば、産業機器メーカーの場合、ロボティクスとAI、ブロックチェーン、ビッグデータ分析、3Dプリンティングを組み合わせれば従業員1人当たり4万3000ドル(485万9000円)以上のコストを削減できるという。

図2:従業員1人当たりのコストを最大限削減するためのデジタルテクノロジーの組み合わせ(出所:アクセンチュア)

 加えてデジタルテクノロジーが浸透し活用が進めば、新たな雇用が発生することも明らかになったとしている。デジタルテクノロジーにより製品、情報システム、工場などの相互連携を進むことで、既存の職務に新たに責任が積み重なるほかに、全く新しい職務が発生するという。同社が実施したアンケート調査でも、回答者の56%が「既存の職務は今後、拡大または発展していく」とし、55%は「なくなる職務より新たに生まれる職務のほうが多い」と答えている。

 アンケート調査は、日本を含む21カ国、12業界の大企業の上級役職者931人を対象にしたもの。回答者の80%が「かつてないほどの効率向上や成長、体験をすべて同時に実現したい」と回答。64%の回答者は「先端技術を活用できなければ、将来的に苦戦を強いられる」と答えている。

 一方で、「先端技術への投資で新たな収入源を創出し、業務効率向上と成長を実現できている」という回答は13%にとどまった。大企業の上層部がデジタルテクノロジーの価値と必要性を認めながらも、本格的な導入に踏み切れていないという姿が浮き彫りになっている。この結果をAccentureは、デジタルテクノロジーへの投資が不十分で断片的なものにとどまっている結果であると分析している。

 その背景として29%の回答者が「自社の従業員では先端技術に関するスキルが不足しており、相互接続可能な製品を活用してイノベーションを生み出すことが難しい」としている。テクノロジーを扱う従業員のスキル不足がデジタル化を進めるうえでの阻害要因だとの認識が強いことも明らかになっている。