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気候変動対策に向けたデータ活用法コンテスト、国連Global Pulseが選んだ優秀作とは

DIGITAL X 編集部
2017年12月25日

「United Nations Global Pulse」は国際連合(国連)内で先進的なデータ活用を推進するプロジェクト。その中に、気候変動対策に向けたデータ活用法を競うコンテスト「Data for Climate Action(D4CA)」がある。2017年の優秀作とは、どんな活用法だったのだろうか。

 「Data for Climate Action(D4CA)」は、気候変動対策に向けたデータ活用法を競うコンテスト。2017年4月17日から5月9日にかけて参加者を募り、5月22日から24日に審査を通った参加者を発表。5月31日から10月15日までが研究・開発期間で、ドイツ・ボンで開催された国際会議「COP23」で優秀作を発表した。DC4Aの開催には米Western Digitalと米Skoll Global Threats Fundが協力している。

 COP23で発表された受賞作品は以下の通りである。

最優秀賞

●「エレクトロモビリティー:ビッグデータと気候政策によるメキシコシティーの大気浄化」
カリフォルニア州立大学バークレー校とメキシコ国立エコロジー・気候変動研究所による共同研究。ドライバーが渋滞情報や道路状況を提供し合うスマホアプリ「Waze」のデータを分析し、メキシコシティーの交通パターンを解析。解析結果から、大気汚染や温室効果ガス削減に向けたさまざまな交通電化政策を評価する。

テーマ賞

●「温暖化抑制に向けた道路冠水の予測および緩和」
ジョージア州立工科大学の研究。セネガルの道路網の冠水への対応力を引き上げることを目的に、セネガルで携帯電話通信サービスを提供している仏Orangeのデータを活用し、少ない予算を、どの道路の状況改善に投入すべきかを優先付けるための仕組みを作った。

●「管理アプリケーションのためのエコシステム監視(EMMA:Ecosystem Monitoring for Management Application)」
南アフリカの公立ケープタウン大学とニューヨーク州立大学バッファロー校による研究。米Planet LabsがWebサイトで公開している地球の衛星写真データを活用し、南アフリカのケープ植物区に対する森林火災の影響を、ほぼリアルタイムに予測・監視するシステムを開発した。

●「大気汚染による微細変動―消費支出への影響」
米イェール大学の研究。スペインにおける大気の質の変化が、消費者の支出パターンをどのように変化させるかを解析した。解析にはスペインの金融関連データを提供しているBBVA Data & Analyticsと、米Earth Networksが提供する気象データを活用した。

データ可視化賞

●「冬小麦の種まき日を最適化する枠組み」
トルコに拠点を置くチームによる研究。気象データを分析し、冬小麦の種まきに最適な日を、その年の気候に応じて特定する仕組みを開発し、米Tableau Softwareのツールで可視化した。

●「都市の生理学:都市の気候対策を促進するための、都市部の二酸化炭素排出のダイナミック時空間モデル」
私立ニューヨーク大学のチームによる研究。都市の1時間ごとの二酸化炭素排出量を表示する高解像度モデルにより、都市政策決定を支援するダッシュボードを作成した。米Crimson Hexagonが提供するソーシャルメディアのデータや、仏Plume Labsが提供する大気中の成分変化を示すデータなどを活用した。